【中国】サプライチェーン安定へ、博覧会を初開催[経済]

中国初となるサプライチェーン関連の国際見本市「中国国際供応鏈促進博覧会」が開幕した=28日、北京市

中国で初開催となるサプライチェーン(供給網)関連の国際見本市「中国国際供応鏈促進博覧会(供給網博覧会)」が28日、北京市で開幕した。新華社電によると、開幕式で基調演説した李強首相は「供給網が安定すれば世界各国があまねく利益を得られる」と述べ、各方面が協力を深める国際的なプラットフォームを築く方針を示した。

李氏は、「中国は世界の供給網をより強靱(きょうじん)で効率的なものにする」と話し、世界経済の回復に貢献する意欲を強調した。

供給網の国際協力を深める上で、「保護主義やさまざまな形のデカップリング(経済切り離し)に明確に反対する」との姿勢も示した。

主催する中国国際貿易促進委員会(CCPIT)によると、中国と55カ国・地域から515社・団体が出展し、このうち26%を外国企業が占めた。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からは40カ国が参加した。

会場となる北京中国国際展覧中心順義館では、「スマートカー」「グリーン農業」「クリーンエネルギー」「デジタル技術」「ヘルスケア」のサプライチェーンの展示エリアを設けた。展示面積は10万平方メートル。

■日系も出展

日系企業ではガラス最大手のAGCやオムロンなどがブースを出した。

AGCはスマートカーエリアに出展し、自動車に見立てた模型に仮想現実(AR)で素材などのソリューションを映し出して製品を紹介。レーザーを使って車両周辺を認識するセンサー「LiDAR(ライダー)」に使われる素材や、江蘇省蘇州市の工場で現地生産する車載ディスプレー用カバーガラスなどをPRした。

AGCグループ中国総代表の上田敏裕氏は「中国は世界の工場で世界最大の消費市場。自動車やスマートフォンなど世界中の顧客が中国にいる。中国で生産した製品を顧客を通じて世界に広げていきたい」と話した。

NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は、中国と海外をつなぐ輸送ルートなどをパネルにして展示した。中国グループ会社のNX国際物流(中国)で華北地域を担当する木村信介副総経理は「中国ではこれまで日系の顧客が中心だったが、最近は中国系の引き合いも増えている」と述べ、中国での認知度向上につなげる考えを示した。

日本貿易振興機構(ジェトロ)もブースを設置し、日用品を手がける中小企業など10社が参加した。

■外資2割が米企業

外国企業のうち20%は米国企業で、IT大手アップルや電気自動車(EV)大手のテスラ、インターネット通販大手アマゾン・コム、半導体のインテル、クアルコムなどが名を連ねた。

テスラはスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」などを展示し、多くの来場者を集めた。クアルコムはスマホや自動車に搭載されるシステムオンチップ(SoC)「スナップドラゴン」などを紹介した。

会期は12月2日まで。会期中はフォーラムも開かれ、テスラやグーグル、ハネウェルなど米企業の幹部も出席するという。

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