初の公募、役者そろった 砺波・出町子供歌舞伎、危機回避

きらびやかな曳山の上で熱演する西町の子供役者。来年の役者は出町小を通じて初めて募った=2017年4月、砺波市本町

  ●西町奔走、4人名乗り

  ●来春6人で上演、伝統守る

 4月29、30日に砺波市で行われる富山県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」で、来年の当番町である西町の子供役者が集まらず、初めて出町地区全体から役者を公募した。少子化の影響で役者集めに苦労し、10月末にようやく確保にこぎつけた。来春には町外から加わった「助っ人」とともに絢爛(けんらん)豪華な曳山の舞台で上演し、230年以上続く伝統を守りつないでいく。

  ●小学校で呼び掛け

 出町子供歌舞伎は出町新明宮の春季祭礼で、東、中町、西町の3町が毎年持ち回りで担当する。西町は当番だった2020年と21年がコロナ禍で中止となり、17年以来の上演となる。

 関係者によると、西町と構成する旭町には当初、子供役者を引き受けた小学生が2人しかいなかった。少人数での演目も考えたが、曳山祭前日の来年4月28日に砺波市で開催される富山県山(車)・鉾・屋台・行燈祭交流会議に花を添えるため、西町曳山振興会が一定数の子供歌舞伎を披露しようと、子供役者集めに奔走した。しかし、町内や近隣の町にも打診を続けたが、なかなか思うように集まらなかった。

 西町曳山振興会は対応を協議し、9月中旬に出町小に打診。同校が3~5年の児童に呼び掛けたところ、10月末に西町の1人と町外3人の女児4人が協力を約束し、最初の女児2人と合わせ、子供役者6人がそろった。

 西町は、平安時代に東北で勢力を築き、都に滅ぼされた安部一族の再興を誓う安部貞任・宗任兄弟の姿を描いた「奥州安達ケ原三段目」を上演する予定で、既に説明会を兼ねて初顔合わせを行い、配役を決めた。

 出町子供歌舞伎はこれまでも、少子化の進展で当番町が親戚や縁者を頼るなど子供役者を集めるのに一苦労している。西町曳山振興会の小竹正紀会長は「なんとしても伝統の灯を絶やさず、来年、再来年も、もっと手を上げてくれる子が増えればいいと思う」と話した。

© 株式会社北國新聞社