京都府亀岡市の大恩寺で11月26日、浄土宗の「十夜(じゅうや)法要」が営まれた。檀家ら約30人が念仏を唱和し、上方講談師による因果応報の物語にも聞き入った。
法要は、室町時代に十日十夜にわたる念仏会として始まり、「お十夜」などとも呼ばれる。同寺では、新型コロナウイルス禍による休止を経て4年ぶりに再開された。
法要では、阿弥陀如来を祭る本堂に檀家や近隣住民が集まり、奥田大信住職による読経を聞きながら合掌や焼香をした。木魚がリズミカルに響く中、奥田住職とともに「南無阿弥陀仏」と念仏をとなえた。
その後、旭堂南龍さんが講談を披露。浄土宗の大本山増上寺(東京)の門前を舞台にした物語を熱演した。
一文無しの学者に無償でおからを届けた豆腐屋が、後に火事に遭った際に、出世したその学者に救われるというストーリーを笑いを織り交ぜて語った。
大恩寺では以前、檀家の世話による会食も十夜法要で行われていたが、食中毒が社会問題になって廃れたという。奥田住職は「形を変えながらでも、お十夜の伝統を今後も守っていきたい」と話した。