京アニ公判「謝罪や反省は求めない。命で償って」遺族が意見陳述

逮捕前の青葉被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第18回公判が29日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。遺族による意見陳述があり、亡くなった女性の父親は「何の落ち度もない娘がなぜ巻き込まれなくてはならなかったのか。被告には命をもって罪を償ってほしい」などと訴えた。

 公判は最終段階に入り、量刑に関わる情状面の審理が27日から行われている。この日は犠牲者の遺族が法廷に立った。

 意見陳述で父親は「娘はいつも明るい笑顔をしていた。いつも優しく何げない一言に励まされてきた」と生前の人柄を回顧。事件については「人生をあの日で閉ざされ、どれだけ無念だったか。悔しくてたまらない」と感情を抑えながら語った。青葉被告に対しては「謝罪や反省は求めない。謝罪や反省で償える罪ではないから」と強調した。

 この後、母親の心情をつづった書面を検察官が読み上げた。真面目で努力を重ね、家族思いだった人柄に触れ、青葉被告には「一人一人の命を奪ったことで多くの人に影響を与えたことを考えてほしい」とした。

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