太平洋戦争下の日系カナダ人、財産を同意なく売却され 滋賀県祈念館で証言など展示

太平洋戦争中のカナダ政府による財産没収をテーマに日系人の証言パネルが展示された会場(東近江市下中野町・県平和祈念館)

 滋賀県平和祈念館で開催中の「破られた約束-太平洋戦争下の日系カナダ人」は、日系人家族の戦前の暮らしから戦後の生活再建までをたどり、マイノリティーへの人権侵害の歴史を伝えている。

 開戦時、カナダには2万以上の日系人が暮らしていたが、カナダ政府は開戦後、日系人にブリティッシュ・コロンビア州沿岸部からの立ち退きを強制。当初は残された財産を保護するとしたものの、本人の同意なく安価で売却するなどした。

 会場では、現在の東近江市出身の女性をはじめ7家族の証言などから、カナダで事業を立ち上げ生活を築いていった日系人の生活や、財産没収をへて戦後にカナダ政府に補償を求める運動に参加するなど、喪失感に苦しんだ体験を紹介する。

 住み慣れた街を追われて共同生活を送った日系人が当時の暮らしを記録したアルバムや、彦根市の女性が収容所生活について証言したパネルの展示などもある。

 今回の展示は、カナダの研究者による研究成果を基に、日本国内の大学教授らが実行委員会をつくって実施している巡回展の一つ。戦前、カナダ移民が最も多かった滋賀のほか、和歌山や京都でも開催を予定している。

 来年2月25日まで。12月18日~1月4日と、月、火曜休館(祝日は開館)。入館無料。

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