あの夏を取り戻せ、甲子園に3年越し集結 コロナ禍で聖地踏めなかった全国の元球児たち「グラウンドに出た瞬間、鳥肌が立った」

笑顔で入場行進する三田松聖高校硬式野球部のOBら=29日午後、西宮市の甲子園球場(撮影・風斗雅博)

 新型コロナウイルス禍で夏の全国高校野球選手権大会が中止となった2020年に高校生だった世代が集う「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」が29日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した。12月1日までの3日間、三田松聖高校(兵庫)OBなど42チームの約800人が、兵庫県内各地の球場で白球を追う。

 東京の高校3年生だった大学生大武優斗さん(21)が「悔しい思いを持つ仲間と『やりきった』と実感したい」と発案した。昨夏からクラウドファンディングや企業からの協賛で資金を集め、実現させた。

 初日は式典などがあり、試合がなかった三田松聖高のOBたちは、シートノックや入場行進で聖地の土を踏みしめた。

 京田真慶さん(21)は3年前、甲子園大会中止の知らせに「頭が真っ白になった」といい、「グラウンドに出た瞬間、鳥肌が立った」と興奮気味。不完全燃焼との思いから大学でも野球を続け、迷わず今大会への参加を決めた。当時主将だった瀬戸口蓮さん(21)も「ここに立てただけでうれしい。夢がかなった」と喜びをかみしめた。

 三田松聖高OBは30日、高砂市野球場で佐野日大高校(栃木)OBと戦う。(初鹿野俊)

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