決算発表後の急騰を狙う「決算プレイ」を避けて、低リスク高リターンを狙う”後出し作戦”

決算がよいだろうと先回りして、発表後の急騰を狙う決算プレイや、決算発表翌日に飛びつく好決算キャッチプレイは、そこそこ経験がある投資家にとっても、なかなか思い通りにならないものです。

目論見が外れたときのダメージは、金額的にも精神的にも大きいため、わたし自身はほとんどチャレンジすることはありません。しかし、決算という材料が、その後の株価を押し上げることは多く、上手に捉えれば、資産運用の効率をぐいっと底上げしてくれるので、利用しない手はありません。

そこでわたし自身が行っている比較的リスクが少なく、好リターンを取りやすい”決算後出し作戦”を紹介しましょう。


なんちゃって好決算には要注意

まず決算発表シーズン中は、決算発表翌日に急騰した銘柄をチェックしておきます。株の情報サイトや、証券会社のサイトで、その日の値上がり率ランキングを紹介していますので、その中から決算発表によって急騰した銘柄をリストアップするとよいでしょう。すべてを網羅するのは大変ですので、ストップ高になった銘柄だけでも十分です。

ただし、ストップ高になった銘柄の中にも、”なんちゃって好決算”の場合もあります。”なんちゃって好決算”というのは、一見、好決算に見えるけど、よくよく決算内容を確認するとそれほどよくないといったものです。そういった銘柄は、その後、ずるずると下げて、そのまま浮上しないことがありますので、本当に好決算かどうかのチェックは必須です。

ほんとの好決算とは?

決算チェックのポイントは、本決算か、四半期決算かによって変わります。まず本決算の場合は、着地の数字よりも新年度予想が大切です。新年度が、着地した期より大きめに増収増益予想が出た場合は、翌日の株価の反応はポジティブです。

四半期決算の場合は、前年同期比が増収増益であること、また通期予想に対する進捗率がよいことが絶対条件となります。進捗率は、季節性がありますので、それらも加味して判断します。さらに増配や自社株買いなどの株主還元も同時に発表すると翌日株価が跳ね上がる確率は高まります。とくに第1四半期決算でこういった好決算が出た場合は、株価は素直に反応しやすく、その後もわりと長く上昇が続く傾向にありますので要チェックです。

高値追いをせず、じっくり待つ!

リストアップした銘柄は、毎日、日足チャートで株価チェックをします。よくあるパターンとしては、決算翌日急騰したあと、さらに数日間株価が上昇します。その動きを見てると、「もっと上がるかも!」と気持ちが焦り買いたくなりますが、そこはグッとがまん。

その後、短期的な利益確定売りが発生し、株価は下落、もしくは足踏みで動かなくなります。そこもじっと待機。買い出動するのは、株価の反転を確認してからです。わたしの経験上、反転するのは、急騰した株価が25日移動平均線あたりまで下落してからです。

実例をお見せしましょう。

画像:JESCOホールディングス「決算短信〔日本基準〕(連結)

10月13日に23年8月期の決算発表を行なったJESCOホールディングス(1434)です。

着地は①売上高予想は11,104(百万円)、②前年比7.0%、③営業利益425(百万円)、④前年比-45.2%と減益ですので、けしてよいとは言えません。

画像:JESCOホールディングス「決算短信〔日本基準〕(連結)

しかし、新年度予想は、④売上高予想は14,000(百万円)、⑤前年比26.1%、⑥営業利益1,120(百万円)、⑦前年比163.3%と大幅の増収増益です。

画像:JESCOホールディングス「決算説明会資料(2023年10月26日公開)

決算説明資料によると、24年8月期は、受注高、受注残ともに20%以上増加予想で、さきゆきの明るさが見通せます。

画像:TradingViewより

好決算を素直に反映し、決算発表翌日はストップ高になりました。株価は、さらに数日間上昇していますが、その後下落して、25日移動平均線まで調整。そこからふたたび反転しています。

ここまで待ってからインすれば、さらに下落するリスクは小さく、一方で、上値余地は大きくなります。万が一、再び下落に転じ、25日移動平均線を割ったら損切りします。ここでしっかり損切りできれば、損失額はそれほど大きくないはずです。

決算発表チェックの順番をおさらいすると

1. 決算翌日に株価が急騰したものをリストアップ

2. それらがほんとに好決算かチェック

3. 好決算だったものは、毎日日足チャートを監視

4. 25日移動平均線あたりまで調整し、反発の兆しが出たら買い出動

5. 25日移動平均線を割ったら損切り

10月末から11月半ばに決算発表をした好決算銘柄で、このような動きをしている銘柄が多くあります。ぜひ見てみてください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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