ただいま拡大中!“あえて安売り”のワケ 12月も乳製品など価格UPも…「相場環境が落ち着いてきた」

あすから12月、乳製品や調味料など677品目が値上がりします。物価高はようやく落ち着きを見せ始めていて、“値上げ疲れ”が見える消費者を対象に「あえて安売り」で勝負する動きが出始めています。

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静岡市駿河区にある弁当・惣菜店の天神屋。11月30日で創業69年を迎え、長く静岡県民の胃袋を満たしています。

<天神屋広報部 鈴木実里部長>
Qお得なお弁当があると聞いたが
「『のりどん』です。天神屋は実はのり弁当がなかった。のり弁当が丼になった形」

天神屋で10月から販売を始めた「のりどん」。丼スタイルは、ひとつの容器にご飯とおかずを盛ることができます。調理時間を短縮しコストを削減。普通の弁当は600円台からですが、「のりどん」は500円台での提供です。

さらに一番人気のかつ丼には、「中盛」が仲間入り。カツ6切れがのっているレギュラーサイズに比べて、カツが3切れ、ごはんは3分の2です。

<天神屋広報部 鈴木実里部長>
「丼ぶりを買いながら、さらにおでんを買ったり、いろんなものも食べたいというお客さんのために作りました」

いま、あえて安い商品を前面に打ち出すことで、満足度を高め、集客を図る戦略です。

スーパーマーケットが打ち出すのは「特売」です。

<富士屋高洲店 藤村哲也店長>
Qきょうの特売の商品は?
「きゅうりとレンコンになっています」
Q野菜は高いイメージがあったが?
「(野菜の)値上げは非常に多かったと思いますが、相場環境が落ち着いてきて、これから特売の回数も徐々に増えてくる」

取材した富士屋高洲店では、特売になっていたサツマイモも売り切れの状態。特売は野菜だけにとどまりません。

<富士屋高洲店 藤村哲也店長>
「パン全品を3割引きで提供している」

2023年、製パンメーカー各社は値上げを実施。お得感が薄まっていたパンを全品、値引きすることで、パンを手に取ってもらい、客単価を上げる狙いがあります。実際、富士屋高洲店では、1日に3000個以上のパンが売れるそうです。

<富士屋高洲店 藤村哲也店長>
Q客は、曜日ごとの割引をうまく利用している?
「買い物を節約するために、企画を利用するお客様が増えている」

少しずつ落ち着き始めた物価高の波。増え始めたお得な商品を取り入れることが節約のカギになります。

帝国データバンクによると、現時点で2024年1月から4月に予想される値上げの品目数は1596品目と、2023年の6785品目に比べ、76.5%も減る見込みです。

静岡経済研究所の恒友仁専務理事によりますと、これまでの物価高は円安による輸入物価の上昇が主な原因でした。しかし、11月上旬は1ドル=151円台後半でしたが、今週に入り、146円台となり、円安が落ち着いてきました。よって、2024年以降は物価高は徐々に緩和する見込みとしています。長引く物価高への辛抱は、もう少し続きそうです。

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