【ミャンマー】中国国境混乱は詐欺グループ原因=総司令官[政治]

ミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官は、中国国境に近い北東部シャン州北部コーカン自治区で起こっている混乱の原因は、オンライン賭博などを手がける特殊詐欺グループだとの考えを示した。同地域などでは10月下旬から、三つの少数民族武装勢力が国軍への攻勢を強めている。11月30日付国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーが伝えた。

ミンアウンフライン氏は、同29日に開かれた国軍の最高意思決定機関「国家統治評議会(SAC)」の会合で発言した。同氏によると、コーカン自治区の中心であるラウッカイ近辺では以前から麻薬密売や賭博が行われていたが、新型コロナウイルス禍でオンライン賭博が急拡大した。賭博運営のために技術者などが集められ、ラウッカイでは不法入国した外国人が急増した。

ミンアウンフライン氏は、中国人不法入国者の取り締まりを強化し、ラウッカイで11月28日までに不法滞在者2,035人を含む3,738人を逮捕し、中国へ強制送還したと説明した。軍事政権は国営メディアを通じ、10月末から11月29日までに中国へと強制送還した外国人が1万人を超えたと発表している。

中国公安省は21日、ミャンマー当局と9月から国境地域でのオンライン詐欺などの大規模な捜査を進めており、詐欺容疑者約3万1,000人の身柄を引き渡されたと発表していた。

シンクタンク「ISPミャンマー」の25日付報告によると、このうち「作戦1027」前に引き渡された容疑者はわずか4,421人だったが、作戦後は2万6,579人と約6倍に急増した。

「兄弟同盟」を構成する少数民族武装勢力ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、タアン民族解放軍(TNLA)、アラカン軍(AA)の3勢力は10月27日、シャン州北部の国軍基地への攻撃を開始した。日付にちなみ、作戦1027と名付けられた。

MNDAAは11月14日、国軍からラウッカイを奪還すると表明した。

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