吉田正尚、大リーグ1年目で克服できなかった「角度」 地元福井の記者に語った新たなステップ

福井新聞の単独インタビューに応じる米大リーグ・レッドソックスの吉田正尚選手=11月27日、福井県福井市内

 米大リーグ・レッドソックスの吉田正尚外野手(30)=福井県福井市出身=は11月27日、福井市内で福井新聞の単独インタビューに応じ、2年目の来季について「チャンピオンリングが欲しい。みんなそこに向かって1年間努力している」とワールドシリーズ制覇を誓った。キャンプインまで日本国内でトレーニングを継続する一方、12月には自身が続ける慈善活動の一環でカンボジアを訪問し、現地の子どもたちと交流する意向を明らかにした。

 吉田選手は現在、疲労回復と来季に向けた体作りに努めている。「5、6割(の状態)をキープし、休養と強化をバランス良くやる」ことを心掛ける。

 プロ野球・オリックス時代から本塁打数などに応じて寄付金を送り、貧困に苦しむアジアの子どもたちを支援してきた。その慈善活動が12月中旬、新たなステップを踏む。「カンボジアの恵まれない家庭の子どもたちと触れ合いたい」。新型コロナウイルス禍や米大リーグ移籍でかなわなかった現地訪問をようやく実現させる。

 今季140試合に出場し、打率2割8分9厘、15本塁打、72打点。最も印象に残っているのはオリオールズとの開幕戦(米国時間3月30日)の初安打とパイレーツ戦(同4月3日)の初本塁打だ。「初安打や初本塁打がないとスタートできない。そこから数字が積み重なっていくので」と振り返った。

 ただ、成績に納得はしておらず、この数字に終わった要因の一つに「角度」を挙げた。「投手の身長が高く、いろんな角度から球が来る。スピードもある。分かってはいたことだが、対応が難しかった」。克服には自身のレベルアップしかない。「大谷翔平選手(エンゼルス)に四球が多いのは相手が逃げているから。警戒され、相手が認める打者にならないと」と話す。

⇒吉田正尚のスイング「日本人には珍しい型」強打のメカニズムとは

 個人としてもチームとしても1番を目指す姿勢にぶれはない。「ビール掛けの瞬間は本当に1年間の疲れが吹き飛ぶ。みんなでシャンパンファイトがしたい」と来季のワールドシリーズ優勝に思いをはせた。

 12月にはプロ野球選手らによる福井県人会が発足し、吉田選手も加わる。「置かれた環境が異なる子どもたちと野球を通じて出会い、それがまた違う世界でつながることもある。直接触れ合うからこそできることを僕は大事にしたい」と、会の意義を説いた。

 オリックスの後輩、山本由伸投手ら大リーグに舞台を移す選手が出そうだ。「米国はマーケットが大きく、行った人にしか分からない雰囲気がある。人生は一度きり。チャンスがあるならチャレンジした方がいい」とエールを送る。

© 株式会社福井新聞社