もちもち姫路れんこん、丸々と成長 おせち用で人気 伝統絶やさぬ農家ら「ぜひ味わって」

丸々と大きく成長した「姫路れんこん」=姫路市大津区勘兵衛町(撮影・辰巳直之)

 兵庫県姫路市の特産「姫路れんこん」の収穫が、産地として知られる同市大津区勘兵衛町で進んでいる。今年は台風の影響が少なく、太く丸々と育ったといい、生産者の田中準人さん(58)は「自慢のレンコンをぜひ味わって」とPRする。

 同町では大正期にレンコン栽培が始まった。それまでは稲作が盛んだったが、豊富な地下水と保水性の高い粘土質の土壌を生かそうと、山口県から苗を持ち込んだのが始まりとされる。色白であくが少なく、もちもちとした食感が特徴だ。

 毎年4~5月に苗を植え、8月の「新レンコン」から始まり翌春まで収穫を続ける。葉が枯れて栄養が根に凝縮される秋・冬時期のレンコンは特に味が良いという。

 11月中旬、田中さんは妻・瑞穂さん(59)と一緒につなぎと長靴姿で泥田へ。ホースの水圧を利用して泥をかき分け、真っ白なレンコンを次々と掘り出した。一日約100キロを収穫し、真空パックに詰めて出荷している。おせち用の注文が増える年末にかけて最盛期を迎えるという。

 一方、同町では後継者不足が課題となっている。かつては50軒ほどあったレンコン農家は現在、半分以下まで減少した。

 田中さんは約2年前、「伝統がなくなるのはもったいない」と、勤めていた電気機器メーカーを退職し家業のレンコン農家を引き継いだ。「楽しみに待ってくれている人がいる限り頑張りたい」と明るく話した。(成 将希)

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