清水エスパルスにとって 国立競技場は本当に「鬼門」なのか 公式戦10連敗も…4度掲げた優勝カップ

「鬼門」
辞書を引くと、ろくなことがなくて、行くのが嫌な場所。また、苦手とする相手・事柄、だと記されている。

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この鬼門、サッカー界で、まことしやかに囁かれているのが、清水エスパルスにとって、国立競技場がそれに当てはまるらしい、ということ。確かに、過去の成績をひも解くと、エスパルスが国立競技場で勝ち切ったのはいまから21年前、2002年の元日・天皇杯決勝でセレッソ大阪を延長の末、3‐2で破ったのが最後(2002年・ゼロックススーパーカップ対鹿島アントラーズのPK勝ちは除く)。

2003年からは公式戦10連敗。天皇杯決勝も、ナビスコカップ決勝もことごとく敗れた。黒星トンネルから抜け出したのは、J2リーグの最多観客数を記録した2023年7月のジェフユナイテッド千葉戦。しかし、結果は引き分け。先制しながら、逆転を許し、なんとか追いついたというゲーム展開で、国立は激しいブーイングに包まれた。

エスパルスにとって、国立競技場はやはり、鬼門なのか。

その答えは「否」だと、断言したい。

“凱歌をあげるスタジアム”

まず、覚えておきたいデータがある。エスパルスは、これまでに国立で計45試合を行ってきた(SBS調べ)。その数は、ホーム・IAIスタジアム日本平に次ぐ数字だ。気になる通算成績は、18勝20敗7引き分け(PK戦は引き分けに含む)と悲観するような数字ではない。

かつて、“シルバーコレクター”と呼ばれたオレンジ軍団だが、国際大会を含め、公式戦であわせて6度の優勝を飾っている(Jリーグステージ優勝1回、ナビスコカップ1回、天皇杯1回、スーパーカップ2回、アジアカップウィナーズカップ1回)。

そのうち、国立競技場でカップを掲げた回数は4回、スタジアム別では最多だ。少々強引なデータもあるが、エスパルスにとって、国立は決して“悔し涙を流す場”ではなく、“凱歌をあげるスタジアム”であることを歴史は示している。国立こそ、栄冠を勝ち取る聖地。そう胸に刻み、決戦の時を待ちたい。

2023年12月2日、J1昇格プレーオフ決勝。草創期からの宿敵ヴェルディ相手に勝利し、生まれ変わった“ナショナルスタジアム”でシャーレを掲げた時、エスパルスの新たな時代が始まる。

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