【タイ】アユタヤ銀商談会、日タイ100社が提携模索[経済]

日タイ企業100社が250件の商談を行った。場内には、タイと日本のESG(環境・社会・企業統治)ソリューション企業3社が参加するESG相談ブースも設置した=11月30日、タイ・バンコク(NNA撮影)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行とアユタヤ銀行は11月30日、タイの首都バンコクで日タイ企業のビジネスマッチングを目的とした「MUFG—クルンシィ・バンコック商談会」を開催した。タイでの販路拡大を目指す日本企業や、日本商品の取り扱いを目指すタイ企業など約100社が参加し、250件の商談が行われた。

2行はタイで2013年以降、定期的に日タイ企業の商談会を開催しており、今回で11回目となった。新型コロナウイルス禍でこの3年はオンライン実施となっていたため、4年ぶりの対面開催となった。

日本企業とタイ企業がそれぞれ約50社参加。日本側は水産大手マルハニチロや牛乳・乳製品メーカーの南日本酪農協同(宮崎県都城市)など食品関連、タイからは大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCPオールや消費財大手サハ・グループなど小売り関連の企業がそれぞれ多く集まった。

牛乳や乳酸菌飲料「ヨーグルッペ」「スコール」をアジアに輸出する南日本酪農協同は、東南アジアから問い合わせが増えていることから今回初めて参加を決めた。海外事業部の笹原剛部長はCPオールや小売り大手セントラル傘下企業など4社と商談したといい、「タイの大手財閥の考え方や求められているものがわかり、実りが大きかった」とコメント。今回の収穫を踏まえて「タイ企業とどう協力できるか、コミュニケーションを重ねていきたい」と述べ、「日本の酪農技術の高さと、技術があるから日本の牛乳・乳製品が安全でおいしいのだということをタイでも広めていきたい」と意気込んだ。

南日本酪農協同の海外主要市場は香港、台湾、シンガポール。海外売上高は年間約2億円で、増やしていきたい考えだという。

タイの飼料大手で養豚・食品事業も展開するインテック(Intecq)グループは、食品事業で日系のパートナーを求めて参加した。最高投資責任者(CIO)兼最高財務責任者(CFO)のピンヤワット氏は、日本の調味料大手と小売り大手と商談。通常の食品だけでなく「ペットフードの販売でも可能性を感じた」と話した。タイでは調理済み食品の市場が拡大するなど「消費者の食習慣が変化しつつある」とした上で、「日本の食品会社の技術やノウハウと、当社の原材料力と生産効率が合わされば、完璧なビジネスが生み出せる」などと期待感を示した。

■シナジー実感、多国間開催へ

三菱UFJ銀は2013年にアユタヤ銀を子会社化した。アユタヤ銀の大久保文世・副頭取は「買収から10年たち、(三菱UFJ銀との間で)法人営業を含め広くシナジー効果が生まれている」とコメント。11回目となった商談会も、互いの強固な顧客基盤があってこそ可能なイベントだと説明した。過去の商談成立例では、日タイ企業の共同開発商品が発売された実績などがあるという。

一方、三菱UFJ銀コーポレート情報営業部の佐藤友部長は「タイは、特に食品などの販路拡大先として日本企業から注目度が高い。今回は4年ぶりの対面開催で、実際に商品を手に取ったり試食をしたりと、オンラインにはない熱気がある」などと手応えを示した。

MUFGはアユタヤ銀のほか、インドネシアにバンクダナモン、ベトナムにヴィエティンバンク、フィリピンにセキュリティバンクと4カ国で4行のパートナーバンクを持つ。今後は4行すべてを巻き込んで、各国企業が参加する「多国間商談会」へとイベントを進化させる方針。今回、第1弾として呼びかけた結果、ベトナムからも1社が参加した。

アユタヤ銀の大久保副頭取(右)と三菱UFJ銀の佐藤氏。MUFGはアジアのパートナーバンクと連携して、日本企業の海外事業拡大支援により力を入れていく方針だ=11月30日、タイ・バンコク(NNA撮影)

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