第6波、家族内陽性率増・新型コロナ 山形市保健所の加藤副所長が分析

 山形市保健所の加藤裕一副所長(51)=市健康医療部保健医療次監=が、2020年の新型コロナウイルス流行第1波から昨年の第6波まで、感染した市民計約4500人を対象に、感染状況の変化を分析した。クラスター発生は6波になると保育施設や学校が目立ち、家庭内で感染の確認が増加する傾向が強まった。「3世代同居率の高い本県ならではの実態。あらゆる感染症対策に生かしたい課題だ」と指摘する。

 感染した市民の健康観察票などを基に分析し、日本公衆衛生学会総会(10月31日~11月2日、茨城県)で発表した。同居家族内に1人でも陽性者がいた割合は第1波は28.6%だったのに対し、第2波以降は50%前後で推移。第6波になると63.7%に上昇した。

 感染者の属性(職業)を分析すると、第1波では接客業が57.1%で最多。第4波と第5波では会社員が20%強で中心となり、第6波では乳幼児・小学生が25.2%と最も多かった。

 クラスターが起きた場所は、第4波までは飲食店が最も多く、介護施設が2番目に多かった。第6波になると保育施設が増加し、高校や小学校でも相次いだ。

 第6波は、他の波と比較し、家族内で感染が広がりやすい状況だったことを示す分析結果となった。加藤副所長は、飲食店や介護施設では手指消毒、パーティションの設置など管理者による各種感染症対策が浸透したが、家庭での対策は限界があったことが背景にある―と指摘している。

 本県は3世代同居率が高く、1世帯当たりの人数も全国トップとなっている。加藤副所長は「育児に関わる親族が多いことが首都圏とは異なる点と言える」と指摘。こうした状況を踏まえ「感染が広がりやすいため、コロナで積み重ねた経験を今後の感染症対策にどう落とし込むかが重要だ」と話し、本県の実情に合った対策を講じる必要性を強調した。

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