結婚支援登録68件1.7倍 県、企業間交流推進へ本腰 勤務先限定したイベント充実へ 22年度末比

 栃木県の結婚支援事業に協力する企業・団体数が計68件となり、2022年度末時点(39件)に比べ1.7倍に増えたことが3日までに、県のまとめで分かった。近年は横ばい傾向だったが、少子化対策として本年度に呼びかけを強化した結果、賛同を多く得られたという。県内の婚姻数が減る中、県は登録をさらに増やして職場が異なる人々に出会いの場を提供する「企業間交流」を充実させる考えだ。

 結婚応援企業・団体は県が08年から募集を始めた。登録すると企業側には県から婚活イベントなどの情報が提供され、企業側は連絡窓口となる結婚サポーターを設置する。現在は各地の商工団体や病院、農協、金融機関、保険会社などが名を連ねる。

 「勤務先が分かっている状況での出会いに安心感を覚える人もいる」(県県民協働推進課)として、県は本年度、企業間交流に本腰を入れ始めた。推進役となる「コンシェルジュ」をとちぎ結婚支援センターに新たに配置したほか、チラシを作製するなどして企業の掘り起こしを進めている。その結果、18~22年度は30件台だった登録企業が、23年度に入って大幅に増加した。

 県主催の企業間交流イベントは6月以降に3回開催。正式交際ではなく、友達から始める「プレ交際」のマッチングを行い、計20組が成立した。参加者アンケートでは、勤務先を限定したイベントは「参加しやすかった」との回答が約9割に達したという。

 企業間交流について同課の担当者は「婚活が前面に出ない分、気軽に参加できるのではないか。人脈やビジネスの視野も広がるという声もある」と手応えを感じている。

 人口動態統計の速報値(外国人らを含む)によると、本県の1~9月の婚姻件数は4954件。前年同期比322件(6.5%)減で、年間最少を更新するペースで推移している。

 県は8月に「とちぎ少子化対策プロジェクト」を策定し、結婚を望む若者らへの支援を強化する方針だ。野原恵美子(のはらえみこ)県生活文化スポーツ部長は「オール栃木で結婚支援を進めるため、応援企業にぜひ登録してほしい」と呼びかけている。

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