砺波の米、初輸出 コシヒカリ15トンをタイへ 泰栄農研、JAとなみ野が仲介

タイに輸出される見通しとなったコシヒカリ=砺波市五郎丸のJAとなみ野砺波ライスセンター

  ●海外市場開拓の足掛かりに

 砺波市の農業法人が生産した米がJAとなみ野(同市)を通じてタイに輸出される見通しとなった。同JAによると、となみ野産の米が輸出されるのは初めて。人口減少を背景に国内消費が低下する厳しい状況の中で、将来を見据えて市場規模の拡大が望める海外市場を切り開く足掛かりとするのが狙いで、同JAは生産調整で取り組んだ輸出米の販路開拓へサポートしていく。

 輸出を試みるのは、泰栄農研(砺波市庄川町青島)で、JAとなみ野と連携してコシヒカリ15トンを、商社を通じてタイに輸出する。

 国内の主食用米とは別に、生産調整の圃場で輸出米のコシヒカリを3ヘクタール生産しており、収穫した米をJAとなみ野や商社を通じて輸出するという。

 泰栄農研は種もみの生産が中心で、転作用に大豆を生産しているが、10アール当たり収量が落ち、雑草対策などの課題もあった。飼料米の生産も検討したものの、飼料米の補助金制度見直しに伴う栽培体系の見直しなどの負担を考慮し、今後は伸びしろが期待でき、従来の生産の仕方とほぼ変わらない輸出米に活路を見いだすことにした。

 泰栄農研の柴田泰利社長は国の後押しもあり「円安で価格面でも期待できる。時代に合っているのではないか」と期待する。

 JAとなみ野は仲介役として輸出に取り組む組合員をサポートし、販売ルートや流通経費などの情報を組合員にフィードバックしていく方針。11月17~19日にタイ・バンコクで開催された富山県の「とやま食品輸出拡大フェア」に参加した同JAの雄川勉経済部長は「将来を見据え、我々にもチャンスがある。海外マーケットの動向や食糧事情など肌感覚で情報を集めていきたい」と話した。

 県は2026年度に農林水産物・食品の輸出額を20年度の10倍となる120億円にする目標を掲げ、このうち米は20億円を見込む。泰栄農研やJAとなみ野の取り組みについて「こうした動きが積極的になればうれしい」(市場戦略推進課)としている。

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