医師不足で精神科病棟休止へ 八戸市民病院(青森県)、2024年春に 外来も縮小

医師不足のため、来年4月から精神神経科病棟を休止する八戸市民病院。新規患者の受け入れも当面停止する

 八戸市立市民病院の精神神経科病棟(50床)が来年4月から休止することが4日、関係者への取材で分かった。同科医師の減少によって「これまでの診療継続は難しい」と病院側が判断した。今後、外来診療も縮小し、新規患者の受け入れも停止する。現在入院中の患者約50人は来年3月までに転院か退院してもらう。病棟休止によって同市内では総合病院の精神科病棟がなくなる。

 同病院の精神神経科常勤医は現在2人。本年度当初は3人だったが、1人が健康上の理由で今年9月に退職し、さらにもう1人も研修制度の関係上、来年3月に退職する。残った1人も健康上の理由などから退職する。

 同病院は来春、常勤医1人を招へいする予定だが、医師不足解消には至っていないため病棟は4月から休止する。夜間・休日の同科の救急業務は行わない見込み。水野豊院長名で4日、入院・外来ともに新規患者の受け入れを当面休止することを、関係医療機関に通知し、患者受け入れなどの協力を要請した。

 同病院は一般の精神疾患治療のほか、救急外来での自殺企図者の治療、児童思春期外来、周産期の女性のメンタルケアに力を入れてきた。

 来年度以降、児童思春期の患者の受け入れや、精神的ケアが必要な妊婦の入院はできなくなり、八戸地域の患者は青森市や弘前市などの医療機関に行かなくてはならなくなる可能性がある。

 また、同科の医師は現在、青森労災病院(八戸)、五戸総合病院の診療支援に入っているが、今後の診療継続の見通しは厳しい。

 八戸市民病院の関係者は「県内の精神科医不足は極めて深刻。県全体で医師育成と配置のシステムを考えなければならない」と語った。

 市内では八戸赤十字病院が、看護師不足を理由に精神科病棟を今年4月から休止している。

© 株式会社東奥日報社