「5000万とかすごい量が崩落してもツバクロは大して影響しない」リニア工事・発生土置き場めぐり 静岡市長が持論展開「危険度高めるといえない」県と異なる見解

リニアのトンネル工事で出る土の置き場の候補地「ツバクロ」について、静岡市の難波喬司市長は「ツバクロの盛り土のあるなしが、必ずしも危険度を高めるとはいえない」として、深層崩壊の危険性を主張する県とは異なる見解を示しました。

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<静岡市 難波喬司市長>
「JR東海がツバクロ盛り土をしたからといって、災害危険度の最大値が上がるわけではない。だから環境評価影響上、考慮する必要がない」

静岡市の難波市長は12月5日の定例会見で、リニア新幹線のトンネル工事に伴う発生土置き場「ツバクロ」について、地盤深くから崩れる深層崩壊が発生した場合、「ツバクロの盛り土のありなしによって危険度が高まるわけではない」との考えを述べました。

<静岡県 川勝平太知事>
「私はここは不適ではないかと思います。大規模地震があったときに深層崩壊が起こった歴史がある。それを前提としたシミュレーションでないとダメ」

一方、県は深層崩壊の懸念を示し、発生土置き場に適さないとしていて、災害の危険度について異なる見解を示しました。

静岡市は、リニア新幹線の工事による環境への影響に関して、国や県とは別に有識者による協議会を開いていて、4日は生態系の保全と発生土置き場について、議論を交わしました。

難波市長は、大井川上流部で大規模な深層崩壊が発生した場合の災害危険度について、ツバクロの盛り土があった場合となかった場合の比較をシミュレーションし、その結果を説明しました。

静岡市としては、深層崩壊が起きた場合、最大で9000万立方メートルの土砂が流出すると想定。

ツバクロが崩落想定地から少し離れていることなども踏まえ、難波市長は、盛り土が被害を増大させる可能性は低いと主張しています。

<静岡市 難波喬司市長>
「例えば、5000万立方メートルがここを流れたとして、360万(立方メートルを置く予定)のツバクロは大して影響しない。盛り土をしたからといって、最大危険度をあげていないでしょということになる」

さらに難波市長は、盛り土の有無よりも流出した土砂でできる天然ダムの形状などによって危険度が変わると述べ、「盛り土のあるなしが必ずしも危険度を高めるとはいえない」との主張を繰り返しました。

また、万が一、大規模な深層崩壊が起きた場合も全面的にJR東海が責任を負うものでもないとの考えも示しました。

<静岡市 難波喬司市長>
「天然ダムが形成された場合は、各機関で総力を挙げて最適となる方法で災害防止策を実施することになる」

市は、引き続き協議会で議論を重ね見解をまとめる方針で、今後は、生態系への影響などについても話し合いを行う予定です。

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