レール異常の弘南鉄道大鰐線、8日全線再開 2カ月半ぶり2路線全通

点検の不備による弘南鉄道の長期運休を陳謝する成田社長(右から2人目)

 弘南鉄道(本社青森県平川市)は5日、レール補修などのため一部区間で運休中の大鰐線(大鰐-中央弘前)を、8日から全線で再開すると発表した。安全点検の不備によるレール異常により、9月25日昼から弘南線(弘前-黒石)とともに全線運休し、再開区間を順次増やしてきた。両路線の全通は約2カ月半ぶり。

 同社は本社で開いた会見で、再発防止に向けて社員教育や安全点検を徹底すると説明。成田敏社長は「多くの皆さまにおわび申し上げる。二度とないよう安全運行に努め、公共交通としての信頼を回復したい」と陳謝した。

 会見では、レールの摩耗の測定方法に誤りがあり、基準値を超えた摩耗に気付かなかったことについて船越信哉常務が「レールの形状(の変化)を加味せずに測定していた。職員の知識不足もあった」などと説明。職員のレベル向上に向け、東北運輸局での訓練のほか、県内の他の鉄道会社との連携も検討しているとした。

 設備の点検体制の強化や計画的な補修にも努める。今回6カ所の計1.1キロでレールを入れ替え、うち新品に交換したのは1カ所の478メートル。残り5カ所についても来年度以降、順次新品に交換する。

 また、増収に向けて企画列車の運行やインバウンド(訪日客)の受け入れ態勢を充実させる。

 同社は今回の問題や8月の大鰐線脱線事故を受け、役員報酬を減額する方針。今月中に取締役会で決定する。

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