【ミャンマー】市民団体、ODA事業停止を日本政府に要請[経済]

NPO法人「メコン・ウォッチ」など六つの市民団体は1日、日本政府に対し、ミャンマーで実施する政府開発援助(ODA)の円借款事業と、公的資金を供与する事業の全てを停止するよう求める要請書を送付したと発表した。団体側は、「日本政府が軍事支配体制を暗黙のうちに支持しているように見える」と主張している。

要請書によると、日本が2020年までにミャンマーと契約した有償資金協力の総額は1兆3,785億円。うち、21年4月時点で実施中のものが34件、契約ベースの金額は7,396億円だった。団体側は21年2月のクーデターで、「契約先が消滅した」にもかかわらず、日本がODAを継続していること、既存案件についてどのような見直しや検討をしたのか公式に発表されていないと批判した。

また、円借款事業の一つであるバゴー橋の建設事業では、工事を受注した横河ブリッジからミャンマー国軍系複合企業のミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)に、クーデター後の22年7月から11月にかけて支払いが行われたと指摘した。

最大都市ヤンゴン近郊にあるティラワ経済特区(SEZ)を運営する「ミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメント(MJTD)」に言及。同社に出資するミャンマー側の委員会トップは国軍が指名した人物だとし、SEZの事実上の運営に国軍が関わり、配当が国軍を利する可能性があると説明した。MJTDには、日本の大手3商社などが出資している。

要請書を通じて6団体は、こうした政府が貸し出すODA資金はミャンマーの金融機関で一度プールされる「ツーステップローン」の形態を取ると指摘。国軍支配下の金融機関に入った資金は、国軍に管理される恐れがあるとの見方を示した。

さらに、ODA以外の案件として、ヤンゴンにあるヤンゴン博物館跡地の再開発事業に触れ、土地の賃料が国軍兵たん局の管理する口座に入金されると説明。日本側に対し、直ちに出資を引き揚げ、融資を取り消すよう求めた。この案件には国土交通省所管の官民ファンドが出資し、国際協力銀行(JBIC)が融資している。

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