「厳しい判断を」「維持すべき」弘南鉄道大鰐線(青森県)の存廃議論白熱 弘前市議会

 8日に全線で運転を再開する弘南鉄道大鰐線を巡り、弘前市議会の一般質問で5日、白熱した議論が交わされた。登壇した議員からは「厳しい判断をすべきだ」と廃線を含めた抜本的な対応を求める意見や、地域活性化に向け従来通りの運行を求める声が上がった。

 「大鰐線については、厳しい判断をせざるを得ないのではないか」。利用者の低迷が続く大鰐線の存続に向け、財政支援を続ける市側に木村隆洋議員(創和・公明)が詰め寄った。

 2013年に弘南鉄道の社長(当時)が大鰐線の廃線をいったん打ち出した経緯に触れた上で、22年度は鉄道事業の営業損益が1億8700万円の赤字であり「経営努力が非常に甘い」と指摘した。

 6月定例会でも「厳しい判断」を迫った木村議員は「人口減少の中、バスを活用するなど人口形態に合った地域交通の在り方を模索すべきだ」と切り込んだ。

 一方、野村太郎議員(無所属)は「基幹的な交通手段として鉄道を維持すべきだ」とし、大鰐線維持を目指す市の姿勢に理解を示した。近年、外国人観光客による利用増加やバスの運転士不足を理由に挙げた。

 答弁で桜田宏市長は、10月2日からのバス代行輸送について、大鰐線ではバスの利用者が鉄道に比べ55.5%にとどまったとし「渋滞に見舞われるバスと違い定時運行ができる上、観光需要も見込まれる。地域交通の活性化に努めたい」と改めて鉄路維持の姿勢を強調した。

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