青森・八戸沖の座礁船撤去完了、2024年3月末にずれ込む 想定外の亀裂発生で

 2021年8月、八戸沖で座礁したパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」の事故海域に残る船尾部分の撤去作業を担う日本サルヴェージ(東京)が、今年8月末に「24年1月末」とした撤去完了時期を、さらに2カ月遅れの来年3月末と見込んでいることが5日、関係者への取材で分かった。機関室(約1700トン)に穴を開けてチェーンを通し台船2隻でつり上げた際、機関室に想定外の切れ込みが発生。別の位置にチェーンを設置し直す必要が出てきたという。

 同社は5日、検討している現時点の作業工程案を、八戸市内で非公開で漁業関係者に示した。

 出席者によると、今月中旬までに機関室にチェーンを再設置する方向。また、機関室下方にある居住スペースはつぶれて一挙につり上げ撤去することが難しく、ダイバーが水中で切断しながらの作業が求められるという。

 一方、第2管区海上保安本部は5日、機関室のつり上げ撤去作業が今月15日に始まると明らかにした。

 八戸市の八戸みなと漁協の尾崎幸弘組合長は「アクシデントで遅れるということだが、海のことだから想定内」、市川漁協の木田茂美組合長は「仕方ない。事故を起こさず作業を進め、早く片付けてほしい」と話した。

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