警察官が駆け付けた後もナイフで刺す 一家3人を殺害した被告(56)起訴内容を認めるも心神喪失による無罪を主張 「電磁波が思い切り飛んでくる」と一方的に…

愛媛県新居浜市の一家3人を殺害した罪に問われている男の初公判が6日、松山地裁で開かれました。

法廷では、被告が起訴内容を認めたほか、最初に現場に駆け付けた元警察官が証言台に立ち、事件当時の様子が証言されました。

起訴状などによりますと、住所不定で無職の河野智被告(56)は、おととし10月、新居浜市垣生の住宅で岩田友義さんと妻のアイ子さん、三男の健一さんの胸などをナイフで突き刺し、殺害したということです。

松山地裁で開かれた6日の初公判で、河野被告は起訴内容を認めたうえで、弁護側は、犯行時善悪の判断が全くできない「心神喪失状態だった」と無罪を主張しました。

一方の検察側は冒頭陳述で、河野被告は「組織から電磁波攻撃を受けたと思い込み一方的に犯行に及んだ」と指摘。その上で「自らの行動は理解できた」として、善悪の判断ができない訳ではなく、心神耗弱状態で、限定的ながら責任能力はあったと述べました。

その後行われた証拠調べの中で、検察側は、事件発生の4年ほど前から河野被告が監視や盗撮、盗聴など妄想による被害を周囲に対して訴えるようになり、その後「誰かに悪口を言われている」などと、知人らに電話を掛けるようになったと指摘。

「電磁波が思い切り飛んでくる、頭が痛い。仕事に行けず100万円くらい損している」「要求はなんだ、お前しかおらんやろが」など、河野被告が知人に詰め寄る通話内容の録音を証拠として提出しました。

また、事件当日、最初に現場に駆け付けた警察官が証人として出廷し、軒先で腹から血を流し倒れこむ友義さんを発見し、無線で県警本部と連絡を取り合っている間に、通報したアイ子さんが刺されたことなど当時の様子を証言しました。

裁判は河野被告の刑事責任能力の有無やその程度などを争点に審理が進められ、今月18日に判決が言い渡される予定です。

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