閉校前の児童と故郷を発信 “最後の一年"を過ごす児童にテレビができること シリーズ「16の瞳」=静岡

2024年3月で閉校する静岡県の島田市立伊太小学校では、8人の5年生が伝統の行事で学校や地域の良さを発表するべく準備してきました。

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子どもたちが伝えることの難しさに悩む中、学校から依頼がありました。「伝えることが仕事のテレビ局の皆さんに、子どもたちの発表の手伝いをしてほしい。」アドバイスをして12月2日、子どもたちは発表に臨みました。

JR島田駅から車で10分ほどの場所にある伊太小学校。時代とともに児童の数は減り、現在は49人です。伊太小を含む島田市北部の4つの学校は2023年度いっぱいで閉校します。

発表のお手伝いをするのは、5年生の8人です。保護者を招いての伝統行事「うめのみ表現集会」で「伊太っていいね!を全ての人に伝えよう」をテーマに発表します。

<5年生 池田彪駕さん>
「伊太小の歴史を紹介します」

<5年生 佐野陽哉さん>
「学校の畑でサツマイモを作り、秋に芋粥パーティー、秋の行事を行っていたそうです」

伊太地域の歴史や自然についてまとめている5年生。全ての人に伝えるために足りないと感じたのは「人の気持ち」でした。

<滝澤悠季アナウンサー>
「感情のところだよね。いま事実はいっぱい調べられてるから、『当時の人がどんなことを感じたのか?』を入れていくと、より“いいね”と思ってもらえるかもね」

「情報」に「人の気持ち」を加えること。ニュースをより多くの人に深く伝えるため、テレビ局で働くスタッフが心掛けていることです。

卒業生や地元の人が学校で11月11日に開催したイベントでは「人の気持ち」を加えるため、OBに取材する子どもたちの姿がありました。

<5年生 池田彪駕さん>
「学校生活はどうでしたか?」

<伊太小OB>
「楽しかったよ」

11月21日の授業では、最後の仕上げとして聞き手に伝わりやすい読み方のアドバイスをしました。

<滝澤悠希アナウンサー>
「自分が意識しているのは『読むではなく伝える』。書かれたものを読みあげるのと、自分の中で理解して言葉にするのは伝わり方が違う」

<5年生 佐野陽哉さん>
「台本読むのをクラスメイトの家に行って読み合っていました」

<5年生 水口和寿さん>
「最後のうめのみ表現集会だから、今までで1番いい発表にしたい」

12月2日「うめのみ表現集会」の本番当日を迎えました。伊太小最後の表現集会に多くの保護者や地元の人が駆け付けました。

<5年生>
「それでは始めます。5年生が語る、伊太っていいね!」

<5年生 佐野陽哉さん>
「僕たちは伊太小の歴史を発表します。今から34年前の平成元年度の全校児童数は198人でした。学校の畑でサツマイモを作り、秋に収穫祭を行っていたそうです。当時の人は『自分たちで作った作物をおいしく食べられてよかった。作物を育てる大切さを感じました』とおっしゃっていました」

<5年生 鷲塚璃子さん>
「私たちは伊太にいる生き物を調べました」

<5年生 石神七音さん>
「伊太の草むらで、ときどきヘビを見つけます。伊太小の卒業生や地域の人14人に聞くと、伊太にたくさん動物がいるのは、伊太がいいところだと思う人が14人中、全員でした」

集めた「情報」に「伊太を愛する人たちの気持ち」を掛けあわせた発表は客席に届いたのでしょうか?

<水口和寿さんの母>
「母校のこと、地域のことを一生懸命調べてくれて、こんなにきれいにまとめてくれて、うれしかった」

<安田昇輝さんの母>
「(閉校で)伊太の少人数の良さがなくなってしまう悲しさはある。合併しても子どもたちが堂々と過ごしていけたらいいと思う。多少不安はあるが、少しなくなった」

<5年生 水口和寿さん>
「自分のなかだと100点」

<5年生 鷲塚璃子さん>
「全員に伊太のいいところを伝えられたと思います」

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