未使用の助成金100万円 当時の自治会長が返還希望も市「受け取れない」、一体なぜ 滋賀

長浜市役所

 滋賀県長浜市が2020年に同市野瀬町の自治会へ出した空き家解体費用助成金を巡って、当時の自治会長が、解体費用がかからなかったことなどを理由に返還を試みたのに対し、市側は受け取らず、助成金100万円が宙に浮いた形になっていることがわかった。

 市の説明によると、自治会などが行う空き家改修・処分費用を対象にした「空き家活用地域活性化事業助成金」で、同町自治会が地区の空き家を対象に申請し、市が100万円を出した。空き家は無償で解体され、当時の自治会長は今年9月、返還の意図で100万円を市の公金振込口座に入金した。

 市は、自治会長からの入金を受け取る理由がないとして返そうとしたが、自治会長が拒み、現在、法務局へ供託になっている。

 同町の自治会費を巡っては、2680万円を口座から引き出したなどとして今年10月、自治会が地元に住む元市議(75)と当時の自治会会計責任者を業務上横領などの疑いで長浜署に告訴・告発した。

 市は、今回の助成金に絡んでなんらかの不正があったとしており、市都市建設部の嶋田健部長は6日の市議会で「顧問弁護士と相談し刑事告訴・告発を視野に入れて準備している」と答弁した。嶋田部長は取材に対し「自治会に出した助成金を当時の自治会長個人が返還するのはおかしいので受け取れない」としている。

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