山形大入試ミス、「見落とし」原因 報告書公表、業務意識の低さ指摘

報告書の内容を説明する出口毅入試担当理事・副学長(左)と玉手英利学長=山形市・山形大小白川キャンパス

 山形大は7日、2月の一般入試で発覚したミスに関し、検証と再発防止を検討した委員会の報告書を公表した。ミスが起きた「最大の原因は見落とし」と結論付け、入試業務に対する意識の低さを指摘した。問題の内容を理解せずに担当者が採点していたことも挙げた。再発防止策として、専任教員を配置し、入試業務を所管する「アドミッションセンター」(仮称)の設置を提言している。

 検討委は教員に対するアンケートと聞き取りを実施した。査読や校正の過程で3回以上のチェックをしていたが、解答例の誤りを見つけることができなかった。「見落としたことに対しての意識は弱く、責任感が希薄である印象を受けた」と強調している。

 工学部の採点ミスは、採点作業を行うまで担当者が問題を見る機会がなく、内容を理解しないまま、解答例に従って機械的に点数を付けていたことを主な要因に挙げた。

 解答例の誤り、採点ミスをそれぞれ防ぐ対策として、各担当者が自ら問題を解き、内容の理解を徹底することを挙げた。解答例では学外の専門家による点検なども提案した。

 組織的な体制強化も必要とし、「アドミッションセンター」や、新たな入試の在り方を議論する「入試企画戦略室」(仮称)の設置を求めた。

 7日の学長定例記者会見で出口毅入試担当理事・副学長は、直ちに対応できる対策は次回入試から実施し、新組織は来年4月の設置を目指す考えを示した。

◆山形大の入試ミス 2月の一般入試前期日程で、化学と物理で間違った解答例を基に採点が行われた。工学部では部分点の修正や点数集計など計70件の採点ミスがあった。7月に出版社の指摘で判明し、合否判定をやり直した結果、5人が追加合格となった。

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