外堀が埋められつつある川勝知事 次の動きは? リニア工事の環境保全で国交大臣とJR東海社長が面会 環境省も国交省に同調 それでも着地点は見えず=静岡

リニア中央新幹線の工事をめぐり、12月8日、国土交通大臣とJR東海の社長が面会しました。国の有識者会議による「環境保全についての報告書」がまとまったことを受け、JR東海に対策を求めました。工事を認めていない静岡県にとって、外堀が埋められつつありますが、川勝知事は次の動きをみせています。

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12月8日夕方、斉藤鉄夫国土交通大臣のもとを訪れたのは、JR東海の丹羽俊介社長です。

<斉藤鉄夫 国土交通大臣>
「対策をとっていただきたいと思います。どうかよろしくお願いします」

リニア中央新幹線の工事をめぐり、国の有識者会議で生態系などの環境保全の報告書がまとまったことを踏まえ、斉藤国土交通大臣はJR東海の丹羽社長に、報告書に基づく対策を要請しました。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「南アルプスの自然環境の持続可能な利活用について、引き続き積極的に取り組んでまいります」

リニア工事をめぐっては、静岡県は大井川の水や南アルプスの生態系への影響を懸念して、着工を認めていません。そうした中、「環境保全」については、国の有識者会議が報告書をまとめ、7日、国土交通大臣に提出していました。

< 静岡市 難波喬司市長>
「(報告書の)中身を読みましたけれども、非常にレベルの高い検討がされているので、自然環境の問題については、かなりのことが分かったと思っている」

リニア工事が行われる静岡市では、8日、市長会見が開かれました。難波市長は、国の報告書に一定の評価はしつつも、不十分な点があるとも指摘しました。今後、JR東海とは、環境保全の議論を続けていく方針を示しました。

一方、静岡県の川勝知事は…。

<記者>
「報告書に県の意見は反映されているとお考えですか」

記者の質問に無言を貫きましたが、「報告書がまとめられたのは極めて遺憾である」という認識を示しています。

川勝知事は12月5日、環境省を電撃訪問。リニア問題をめぐる次の一手として環境大臣に働きかけました。

<川勝平太知事>
「環境省、もっとしっかりしてくださいと。日本の環境行政の使命って言ったでしょう。その言葉に偽りがあってはいけないと思いますね」

しかし、環境大臣は8日の会見で次のように話しました。

<伊藤信太郎環境大臣>
「(静岡県の意見等を踏まえた)論点が整理され、科学的、客観的な視点から丁寧に議論された結果と認識しています」

環境保全について、国交省の方針に同調する姿勢です。リニア工事をめぐり、国は一定の結論を出した形ですが、静岡県と静岡市は全面的に同調したわけでなく、着地点はまだ見えていません。

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