当選無効の裁決取り消し求め提訴 小山市議選、最下位当選の片山氏

県選管の裁定取り消しを求め、高裁に提訴した理由を述べる片山氏(中央)=8日午後、東京都千代田区霞ケ関の司法記者クラブ

 4月の小山市議選(定数28)の開票結果を巡り、県選挙管理委員会による票の再点検で当選無効とされた裁決について、片山照美(かたやまてるみ)氏(67)は8日までに、裁決の取り消しを求めて東京高裁に提訴した。片山氏は同日、東京・霞ケ関の司法記者クラブで記者会見し、「障害者をはじめ支持者から、任期を全うしてほしいと強い要望があり決意した。県選管の裁決は納得できない」と語った。

 提訴は6日付。第1回公判は来年1月にも開かれる見通し。判決が確定するまで片山氏の当選は無効にならない。

 訴状によると、県選管が無効と判断した2票について、いずれも片山氏への投票であることが明らかだと指摘。片山氏を当選とした小山市選管の判断を適切とし、県選管裁決を「誤っていると言わざるを得ない」とした。

 無効の要因となった、候補者名以外の余計な記載「他事記載」については、公選法の適用を誤ったとして違法性を主張。県選管は1988年の仙台高裁判決が示した意識的で明白などの基準を全く検討せず、ずさんだとした。

 山中真人(やまなかまさと)弁護士は「裁判所は極力、他事記載の範囲は狭く解し、投票意思に沿って有効票を認めようと判断しているのは明らか。県選管の判断はおかしい」と批判した。

 同市議選で片山氏は最下位当選し、荒井覚(あらいさとる)氏(60)が1票差で次点だった。これを受け、荒井氏が市選管に異議申し立てを行ったが棄却され、県選管に審査を申し立てた。県選管は市選管の決定を取り消し、片山氏の当選を無効とする裁決を11月7日付で行った。

 県選管は「訴状が届いておらず、現時点ではコメントできない」としている。

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