もうすぐ発表「今年の漢字」は「虎」が有力? 阪神日本一で期待募るが、逆風のデータも

昨年「今年の漢字」に選ばれた「戦」を揮毫する森貫主(2022年12月、京都市東山区・清水寺)

 2023年の世相を漢字1字で表す「今年の漢字」が、12月12日に発表される。今年もさまざまな出来事がある中、38年ぶりに日本一になったプロ野球阪神タイガースにちなんだ「虎」がどこまで票を伸ばすか注目する声が出ている。「虎」はリーグ優勝した2003年も選ばれた。だが逆風を予想させるデータもある。

 「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が主催し、1995年から毎年公募している。応募が最も多かった1字を「漢字の日」の12月12日前後に清水寺(同区)で発表している。

 ロシアによるウクライナ侵攻などがあった2022年は「戦」、東京五輪があった21年は「金」、新型コロナウイルスの影響を受けた20年は「密」が選ばれている。

 今年は野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本優勝や、岸田文雄首相襲撃事件、新型コロナの5類移行、将棋の藤井聡太さんの八冠達成などがあった。ほかにも音楽家坂本龍一さんや谷村新司さんら著名人の死去、ジャニーズ事務所創業者による性加害問題、中古車販売会社の不正請求発覚もあった。

 そんな中、阪神ファンから期待の声が漏れているのが「虎」だ。18年ぶりにリーグ優勝した03年も「虎」が選ばれた。同協会は「タイガースの優勝、衆院選でのマニフェスト初導入で政治家が『吠(ほ)』え、『虎の尾を踏む』ようなイラク派遣問題があった」と当時の世相を説明。今年も有力候補に急浮上している。

 ただ「虎」の選出に向けては20年前とは異なる状況もある。同協会によると「今年の漢字」の全体の応募数は、知名度の高まりに合わせて03年の8万7千票から、22年は3倍近い22万3千票に増加している。阪神ファンが多い関西以外からも応募が増えているとみられ、見通しは不透明だ。

 一方で、ロシアのウクライナ侵攻は続き、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘も激化。史上初となる2年連続で同じ「戦」となる可能性もある。身の回りでも急激な円安や物価高騰、人手不足が続き、今年も1字の予想は難しそうだ。

 東山区の漢字ミュージアムでは、清水寺の森清範貫主が揮毫(きごう)した「今年の漢字」28年分の大書を来年2月25日まで展示している。要入館料。

過去28年分の大書された「今年の漢字」が並ぶ企画展(京都市東山区祇園町南側・漢字ミュージアム)

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