小嶋総本店(米沢)、2部門最優秀 持続可能な酒造り、英誌コンテスト

英国のアルコール業界専門誌主催のコンテストで最優秀賞を受賞し、表彰状を手にする小嶋健市郎小嶋総本店社長=12月5日、英ロンドン(同社提供)

 日本酒製造の小嶋総本店(米沢市、小嶋健市郎社長)は、環境に配慮した持続可能な酒類の製造・流通に先駆的に取り組む企業を顕彰する英国のアルコール業界専門誌主催の「GREEN AWARDS(グリーン・アワーズ)2023」の2部門で最優秀賞を受賞した。製造過程の二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを実現した点などが評価された。

 「グリーン・アワーズ」はTHE DRINKS BUSINESS(ザ・ドリンクス・ビジネス)社が主催し、欧米のワイナリーやビール製造業者など各国から応募があった。同社は環境に配慮した新製品を対象とする部門と、再生可能エネルギーの活用に取り組んだ企業を対象とする部門で最優秀に選ばれた。総合部門でも最終選考に残り、日本国内では唯一の受賞。

 同社は昨年から契約農家と共に雑草の成長を抑えるロボットを活用し無農薬、無化学肥料での酒米栽培に挑戦し、その酒米を使った酒を今年10月に発売した。CO2排出量削減では、今年2月、使用する全電力を自社の酒かすを使ったバイオガス発電に切り替え、重油を使うボイラーはJ―クレジットを購入し、9月に排出量実質ゼロを実現した。重油に関しても再エネへの移行を模索している。

 小嶋社長は「持続可能性への意識が圧倒的に高い欧米企業の中で、日本酒製造の地道な取り組みが評価され、うれしい」と話した。

 同社は持続可能な酒造りへの取り組みを象徴する新商品「東光with green(ウィズ・グリーン)」を8日、発売した。精米歩合を食用米と同じ90%とし、原料を無駄なく使うことを目指した。ラベルは精英堂印刷(同市)が製作し、古米を原料にした紙、植物性のインクを使うなどした。720ミリリットル入りで1540円。

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