92歳の名物サンタクロース勇退へ…活動は「私の宝。達成感がある」 “番記者”に2代目継承、福井県敦賀市

名物サンタを勇退する髙﨑三蔵さん(右)と後継者の大内清隆さん=12月5日、福井県の敦賀市こどもの国

 毎年クリスマスシーズンに福井県敦賀市内の児童福祉施設などに登場し、夢と笑顔を届け続けてきた名物サンタクロース、高崎三蔵さん(92)=敦賀市=が活動35年目の今年、勇退する。12月13日の市こどもの国でのイベントを最後に“2代目”に引き継ぐ。髙﨑さんは「高崎サンタは私の宝、生きがいだった。達成感がある」と柔和な顔をほころばせた。

 高崎さんがサンタに扮するようになったのは1989年、孫が通っていた保育園の依頼がきっかけ。「ハロー、アメーリカからやってきました」「UFOに乗ってきた」「サンキューベリーマッチ」と片言の英語で子どもたちの人気者に。ほかの保育園などにも評判が広がり、多い時は1シーズン8カ所を回ったこともあった。近年はこどもの国と市立敦賀病院で活動してきた。

⇒【動画】クリスマス会に登場した髙﨑サンタ

 そりは、電動カートにトナカイの電飾やクリスマス飾りで仕立てた特別製。白いひげと真っ赤な衣装を身に着け「ジングルベル」の音楽とともに登場すると「子どもたちはワーワー言って押し寄せてくるくらい喜んでくれて。うれしかったし長生きの秘訣だね」と振り返る。

 交通指導員などとして50年以上、交通安全の推進に関わってきたことから「事故を起こしては絶対にいけない」と今年8月、運転免許を自主返納したことからサンタ引退を決断。後継者は嶺南ケーブルネットワーク(RCN)で「長年、番記者のように取材してきた」という大内清隆さん(64)=敦賀市=が引きうけた。

 大内さんは、かつて自身の娘も大喜びだったパフォーマンスは「自分にはできない」と1度は固辞。それでも「髙﨑サンタの名前は残さないといけない」と「2代目髙﨑サンタ」を名乗ることを条件に後継者となった。

 5日は“そり”の動かし方や登場のこつなどを初代から2代目に伝授。高崎さんは「引きうけてもらえてありがたい」と喜び、大内さんは「初代の名を汚さぬよう、子どもたちに喜ばれるようにやりたい」と誓っていた。

© 株式会社福井新聞社