豊田章男会長「TOYOTA GAZOO Racingは負け嫌い」2024年国内MS体制発表/コメント全文

 12月12日、TOYOTA GAZOO Racingが東京都江東区のCITY CIRCUIT TOKYO BAYにて2024年シーズンの国内レース体制発表会を実施。スーパーGT GT500クラス、全日本スーパーフォーミュラ選手権、全日本ラリー選手権の体制、そしてモータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりや人材育成を目的として国内外の耐久レースに参戦することが明らかにされた。

 体制発表会冒頭、トヨタ自動車の豊田章男会長が登壇。2023年シーズンの戦いを振り返り、新たなシーズンへ向けた想いを語った。コメント全文は以下のとおりだ。

* * * * * * *

豊田章男会長
2023年、我々TOYOTA GAZOO Racingは8つのタイトルを獲得することができました。

モリゾウは「大の負け嫌い」です……。
8つのチャンピオンを皆さんが思ってる以上に喜んでおります。
めちゃくちゃ嬉しいです!
チームのみなさん、ドライバーのみなさん、そしてファンの皆さま、本当にありがとうございました。

この「負け嫌い」という言葉は、今や我々の合言葉のようなものです。

ラリーフィンランドではコースオフして戻ってきたロバンペラ達が私に「We hate to lose!」と言って諦めない気持ちを示してくれました。

ドライバーだけじゃない、このチームは、みんながみんな負け嫌いなんです。
この共通認識が本当に強さの秘訣なんだと、この時に思っていました。

私自身、なぜこんなにも負けることが嫌いなのか? 先日、振り返ってみました。
頭に浮かんだのはニュルの景色です。それも自分が抜かれていくシーン……。
この景色が私の「負け嫌い」の原点でした。
抜き去っていくのは欧州メーカーの開発車両……自分が乗っていたのは生産/販売を終えた80スープラ……。

抜き去っていく車からは聞こえるはずのない「トヨタにこんな車つくれるわけないだろ……」
という声が聞こえていました。今思い出しても悔しい……。この悔しさが私の原点でした。

それ以来、絶対に“そういうクルマ”を作れるようになってやる! と必死にやってまいりました。
私が運転訓練を重ねてきたのも、その一心です。
エンジニアじゃない私でも、なんとかクルマづくりに参画したい、そのための行動でした。

思い返すと……最初は一人で戦っていました。
今みたいに、私が「負け嫌い」と叫んでも、当時は誰も答えてくれなかったと思います。

20年近くかけ、今では本当に仲間が増えてきました。
ドライバーだけでなく、エンジニアもメカニックも
悔しさを分かち合い……、モータースポーツで戦いながら
“当時つくれるわけない”といわれていたクルマをつくろうとする仲間たちです。

モータースポーツで勝つためにはみんなで“乗りやすいクルマ”をつくらないといけません。

8つのチャンピオンは、まさに、そんなクルマづくりができるようになった結果だと思っています。

来シーズンもTOYOTA GAZOO Racingは、もちろん負け嫌い。
「絶対に勝ちたい!」「そのために、クルマを、どうやってよくしていこう?」
そんな想いでモリゾウのもとに仲間たちが集まってくれました。

* * * * * * *

TOYOTA GAZOO Racingの2024年シーズン国内レース体制発表会に登壇したトヨタ自動車の豊田章男会長

© 株式会社三栄