地域一丸で合格祈願 金石中、泉丘・二水・桜丘進学少なく

合格祈願祭で使用する絵馬と鉛筆を前にした3年生と(後列左から)上森校長、河﨑さん、鶴山さん=金石中

  ●17日、大野湊神社が協力

 受験シーズンを控え、金沢市金石中PTAは17日、地元の大野湊神社の協力を得て高校合格祈願祭を初めて営む。月刊北國アクタスで特集された「高校の中学校別進学者数」によると、同校は近年、泉丘、二水、桜丘への進学者数が他校と比べて少ない。このことを気にする保護者も少なくなく、受験生を応援しようと企画した。生徒も自主的に勉強会を始めており、保護者や地域が一体となって受験生を後押しする。

 「アクタスで中学校別の進学者数が公開されて、不安になったという保護者や生徒の声はよく聞きます。偏差値がすべてではないが、私もそんなに少ないのかと、びっくりしました」

 こう話すのは金石中OBで今年度からPTA会長になった鶴山雄一さん(43)だ。

 アクタスは2022年11月号と23年9月号で、泉丘などの中学校別の進学者数を特集した。金石中から泉丘への進学者数は22、23年はいずれも2人で、生徒数に占める比率「進学率」がいずれも1.4%。22年は小規模特認校を除く金沢市内21校(小将町は今年3月閉校)では最も低く、23年は2番目に低かった。

 23年の泉丘、二水、桜丘3校への進学者数は計12人、進学率は8.3%となり、金沢市内で小規模特認校を除き1割を切ったのは金石を含め2校だった。

 教育関係者によると、「中心部や南部に比べると、進学に関する意識が若干薄い」「近隣の金沢西や金市工に進む生徒が多い」などが理由として挙げられる。

 このため、鶴山さんは「金石中に悪い印象を持つ人が増えれば、生徒も自信を失う。なんとかしたい」と考え、受験生を応援する機運を地域全体で高めようと、「道案内の神様」といわれる「猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)(佐那武大明神(さなたけだいみょうじん))」をまつる地元の大野湊神社の協力を得て高校合格祈願祭を行うことにした。

 大野湊神社禰宜(ねぎ)の河﨑智洋さん(40)も金石中OBで祈願祭への協力を快諾、当日学校を訪れ祝詞を奏上する。3年生146人が願いを書いた絵馬を奉納し、「合格」と「五角」を掛けた五角形の鉛筆が配られる。

  ●自主的に勉強会

 3年生は11月下旬から、昼休みに互いに問題を出し合う勉強会「プチッとクイズ」を自主的に行っており、勉強に対する心構えが変わってきたという。3年の稲垣花恋さんは「周りの協力を無駄にしないように、みんなで勉強を頑張りたい」と意気込む。

 今春から金石中に赴任した上森範人校長(53)は「祈願祭を通じて、『みんなでやっていくんだ』という気持ちが生まれてほしい」と話した。

 鶴山さんは「学校の雰囲気が良くなってきている。生徒には地域が団結して背中を押しているということを感じてもらいたい」と力を込めた。

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