隊員総出、飛び交う声 本紙記者・南極圏より、基地に運ぶ食料仕分け

慌ただしく食料の仕分け作業を進める南極観測隊員=10日、南極観測船「しらせ」

 【南極海=報道部・小田信博】第65次南極観測隊(橋田元隊長)は昭和基地到着まで10日ほどに迫り、観測船「しらせ」の中では、南極観測に向けた準備がにわかに慌ただしくなってきた。到着後から野外観測をする隊員もおり、食料の仕分け作業などが船内で行われている。

 観測隊の中には、短・中期で野外観測を行うチームや昭和基地にほとんど入らず観測小屋を拠点に1カ月近く活動するチームもある。円滑に活動が始められるように隊員同士で協力しながら、観測船に運び込んだ大量の食料を事前に分けておくのが恒例となっている。

 「フランスパン二つ」「お米取りに来て」。10日は隊員総出でチーム別に作成した食材リストに沿って分配した。机の上には冷凍の肉や魚介類、インスタント製品…。食料が所狭しと並び、まるでスーパーの食品売り場のようだ。隊員の声が飛び交い、段ボールに詰め終わる頃には、隊員たちの顔にも疲れが見えた。

 隊員の一人の木村光徳さん(50)=ソフトバンク、横浜市出身=は「筋肉がパンパン」と苦笑いしつつ、「準備が忙しくなり、南極が近づいてきているのを感じる」と気を引き締めた。

 今月20日ごろに観測隊の第1便が昭和基地に到着し、本格的な観測活動が始まる予定だ。

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