アイヌに対する差別・偏見・無理解の構造を明らかにする『アイヌもやもや 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。』、発売開始

アイヌに対する差別・偏見・無理解の構造を明らかにする『アイヌもやもや 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。』が、12月12日(火)に303BOOKSより発売された。

現職国会議員のアイヌ差別的発言をきっかけに議論が沸騰

現職の国会議員が、2016年、国連女性差別撤廃委員会に出席したアイヌ女性に対して「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。同じ空気を吸っているだけでも、気分が悪くなる」と差別的発言をブログに記した。また、2023年10月にはYouTube番組で、アイヌ関連事業に対し「公金チューチュー」と揶揄をした。このことにより同議員には批判が殺到、同時にSNSには、アイヌに対するヘイト投稿が急増。今あらためてアイヌに対して、どうして差別が起こるのかが問われている。

▲『アイヌもやもや』漫画ページ(クリックすると拡大します)

アイヌの研究者北原モコットゥナシと、フェミニズムを描いてきた漫画家・田房永子が、アイヌをめぐる問題をわかりやすく解説した一冊

『アイヌもやもや』は、北原モコットゥナシさんがアイヌとして生きる上で体験したこと、まわりに起きたことがベースとなっている。それを田房永子さんが今を生きるアイヌたちの物語として漫画を執筆。北原さんはその差別や偏見のメカニズムを解説していく。なぜ人はより弱いものを見つけ差別をするのか、なぜ人は自らの偏見に気が付けないのか、なぜ人はわかりあえないのか、アイヌをとりまく問題と同時に普遍的な問題にも迫っていく。アイヌの人も、そうでない人も共感できるものとなり、アイヌをめぐる問題に興味をもった人の入門書として最適な一冊となった。

▲漫画ページ。今を生きるアイヌを描いている(クリックすると拡大します)

▲解説ページ。図表もふんだんに掲載している(クリックすると拡大します)

第1章「言い出しにくいんです」が無料で試し読み可能

本書について、より多くの方に知っていただくために、第1章を無料で公開。こちらのウェブページ内(https://303books.jp/ainu-moyamoya/)の「SAMPLE」より読むことができる。

イベント情報① 12月15日(金)田房永子トーク&サイン会(三省堂書店札幌店)

『アイヌもやもや』の制作に田房永子さんはどうして参加したのか? 日常のなかの「もやもや」とどう向き合えばよいのか、また田房さんはどう向き合っているのか? ヘイトについてどうとらえるのか? など、話していただく。『アイヌもやもや』をご購入された方にはサインをしていただく。 ▼イベントページ:https://303books.jp/events/17014/ 日時:2023年12月15日(金)18:00~20:00(開場 17:30) 場所:ブックス&カフェ 札幌ステラプレイス店(札幌ステラプレイス EAST 5F) https://www.stellarplace.net/shop_detail/239 参加費:三省堂書店札幌店にて対象書籍「アイヌもやもや」ご購入または、ご予約の方に参加券を配布いたします。 ※コーヒーまたは紅茶が1杯サービスとなります 参加方法:イベント参加につきましては、https://303books.jp/events/17014/内のお申し込みフォームから必要事項をご記入の上、お申し込みください。また、三省堂書店札幌店店頭または、お電話(011-209-5600)でのお申し込みも承ります。 ※イベントまでに『アイヌもやもや』をご購入済みの方は、当日は『アイヌもやもや』と店頭で配布されたイベント参加券をご持参ください。フォームでお申し込みの方は、当日、開演前に書籍をお求めいただき、イベントにご参加ください。 定員:30名 ※オンライン配信もございますが、YouTube限定公開配信のため、視聴には事前のお申し込みが必要です。前日までにお申し込み頂いたメールアドレス宛にYouTube限定公開URLを送信しますので、このURLからご視聴ください。視聴は無料です。 会場参加、オンライン配信の視聴につきましては、事前申し込みが必要です。https://303books.jp/events/17014/内のお申し込みフォームから必要事項を記載してお申し込みください。 お申し込み期限:12月14日(木)24:00まで ※定員に達し次第、受付終了となります。 主催:303BOOKS株式会社・三省堂書店札幌店 お問い合わせ:303BOOKS株式会社 e-mail:pr@303books.jp

イベント情報② 12月16日(土)刊行記念対談・北原モコットゥナシ×田房永子(北海道大学)

『アイヌもやもや』の著者の北原モコットゥナシ先生(解説)と田房永子さん(漫画)のトークイベント。書籍の制作秘話や、著者のお二人が会話を重ねるなかで見出した共通性などについて話していただく。当日イベントに参加される皆様と一緒に「モヤモヤとの向き合い方を探るイベント」となる。 ▼イベントページ:https://303books.jp/events/16945/ 日時:2023年12月16日(土)14:00~16:00(開場 13:30) 場所:北海道大学 学術交流会館1階 第一会議室 https://www.hokudai.ac.jp/bureau/property/s01/access/ 参加費:無料 定員:130名 参加方法:https://303books.jp/events/16945/内のお申し込みフォームから必要事項をご記入の上、お申し込みください。 ※オンライン配信もございますが、YouTube限定公開配信のため、視聴には事前のお申し込みが必要です。前日までにお申し込み頂いたメールアドレス宛にYouTube限定公開URLを送信しますので、このURLからご視聴ください。 会場参加、オンライン配信の視聴につきましては、事前申し込みが必要です。https://303books.jp/events/16945/内のお申し込みフォームに必要事項を記載してお申し込みください。 受付期限:12月15日(金)24:00まで ※定員に達し次第、受付終了となります。 主催:北海道大学 アイヌ・先住民研究センター お問い合わせ:303BOOKS株式会社 e-mail:pr@303books.jp

著者プロフィール

著:北原モコットゥナシ

1976年、東京都杉並区生まれ。北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。アイヌ民族組織「関東ウタリ会」の結成に両親が関わったことで、文化復興や復権運動をはだで感じながら育つ。13歳のころ、北海道に暮らす祖母、小田トーニンテマハの影響でアイヌ語樺太方言や樺太アイヌの文化に関心をもつ。和名は北原次郎太。

[コメント] 「日本列島北部の先住民族」といわれるアイヌ。けれど、著者は東京都杉並区生まれのアイヌです。関東でも、北海道でも、アイヌのまわりには、いつも言葉にしにくいモヤモヤがついてまわり、視界を邪魔したり、息苦しくなったりすることも。モヤの正体を探っていくと、その向こうに、女性としてLGBTQ+として障がい者としてモヤを払う人々の姿がありました。そのお一人、田房永子先生によって、けっして軽くはない、とらえにくいテーマを、魅力的で柔らかな絵柄とともにお伝えできることとなりました。

漫画:田房永子

1978年東京都千代田区生まれ。漫画家、エッセイスト。2001年、アックスマンガ新人賞佳作受賞。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に発行。大きな反響を呼ぶ。他にも『キレる私をやめたい』(竹書房)、『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』(上野千鶴子氏と共著、大和書房)など著書多数。

[コメント] 「アイヌもやもや」のお話をいただいた時は、「アイヌのことに完全に無知な私が携わっていいのだろうか」という不安がありました。 でも、北原モコットゥナシ先生の文章を読ませていただき、アイヌの人たちの視点を通して見る世界が、私が女性として生きてきた中で納得がいかなかったことと通じているところがあると知って、ぜひ漫画を描かせてもらいたいと思いました。 北原先生の文章はとても面白く分かりやすくて、無自覚だった自分のマジョリティの部分も刺激され、この社会の構造を、よりクリアに捉えることができるようになったと感じています。漫画では、東京で生まれ育ったアイヌの少年・颯太を主人公に、彼をとりまく人々を描きました。ぜひたくさんの人に読んでもらいたいです。

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