県内業況、3期ぶりに改善 日銀12月短観・収益が回復、設備投資増

 日銀山形事務所は13日、12月の県内企業短期経済観測調査(短観)結果を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でマイナス2になり、前回9月調査に比べて9ポイント改善した。改善は3期ぶり。全国に比べると弱いものの、収益の回復を受け、企業の業況感が改善し、設備投資も増えたことが主因。来年3月調査の予測は1ポイント下落のマイナス3。

 12月調査で本県基幹産業の製造業は業況判断DIがマイナス5で、11ポイント改善した。はん用・生産用・業務用機械、輸送用機械は原材料価格高騰を受けた価格転嫁が一定程度進んだほか、供給制約緩和に伴い自動車の生産が回復して部品需要が増えた。

 非製造業は6ポイント改善の0。業種別では、民間設備投資が増えた建設、人流の回復によってニーズが増している卸・小売と宿泊・飲食・対個人サービスがけん引した。

 雇用人員判断DIは全産業で3ポイントダウンのマイナス36になり、人手不足超幅が拡大した。特に非製造業は5ポイントダウンのマイナス54で、引き続きバブル期、コロナ禍からの回復期を超える不足超幅。新卒採用計画の下方修正を余儀なくされた企業もあった。

 設備投資では、中長期的な需要の拡大を見据え、追加の生産装置や新商品製造のための装置の導入を計画する企業が増えた。仕入価格判断DIは1ポイントダウンの61、販売価格判断DIは3ポイントアップの16になり、価格転嫁がある程度進んだことがうかがえる。

 先行きに関し、川村憲章所長は「収益改善が設備投資につながる前向きの循環メカニズムが全国並みに強まるか、人手不足感が強い状況が賃上げにつながるかを注視したい」とした。

 【メモ】業況判断DIは自社の業況が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた割合を引いた数値。雇用人員判断DIは人員が「過剰」とした割合から「不足」の割合を引き、仕入価格判断DIや販売価格判断DIは仕入価格や販売価格が「上昇」と答えた割合から「下落」と答えた割合を引いた。調査は11月9日~12月12日に県内90社を対象に行い、全社から回答を得た。

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