大園団地余剰地を賃貸住宅に 若い世代の移住促進へ

地(赤枠部分)=同市提供 団地余剰地を活用した地域活性化のイメージ

 長崎市は、市営大園団地(大園町)の建て替えに伴い余った土地を、賃貸住宅向け用地として民間事業者に売却する計画を進めている。若い世代の移住を促すほか、周辺の空き家に住み替える流れも生み出し、地域の若年人口減少や空き家の増加といった課題の解決につなげる狙い。団地の余剰地売却は同市初の試みで、軌道に乗れば他の地域での導入も視野に入れる。
 大園団地は市北部に位置し、周辺の滑石地区などは1960年代ごろから住宅地開発が進んだ。近隣には公園やスーパー、保育園や学校などが集まっている一方、住民の高齢化や転出は進み、10~30代の割合は市全体と比べても低い。空き家も増えている。
 市住宅政策室によると、大園団地では2009年度以降、老朽化や入居者の減少に伴う建て替えが進み、棟数と戸数は21棟710戸(08年度)から5棟440戸に減少。これにより団地の北側に約7875平方メートルの余剰地が生じた。
 同室は「人や住まいの循環」をキーワードに、余剰地活用のイメージをこう描く。民間事業者が賃貸住宅を整備した上で、(1)結婚や出産を機に新居を探す若い世代に供給する(2)実際に住んで利便性を感じ、地域への愛着を持ってもらう(3)子の成長などで一戸建て住宅の購入を検討する世帯に、周辺の空き家をリフォームして定住してもらう-という流れだ。
 (1)については、来秋開業する「長崎スタジアムシティ」などの企業進出で新たな雇用が生まれ、賃貸住宅を求める若い世帯が市外から流入するとみられることも“追い風”と捉える。(3)では、空き家リフォーム補助などの支援制度も積極的に活用してもらう考えだ。
 市は開会中の市議会定例会に、余剰地の売却先を選ぶ審査会の設置費(6万7千円)を提案。民間事業者から活用策を公募し、外部委員5人が審査する。市は来年度中の売却契約締結を目指す。

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