諫早の印刷会社、昭和堂が二つの国際コンで入賞 闘病中の子らの絵をカレンダーに

アジア・プリント・アワードの「デジタルカレンダー」部門で銀賞に選ばれ、表彰状を受け取る昭和堂の横尾さん(左)=11月、シンガポール(昭和堂提供)

 長崎県諫早市の印刷会社、昭和堂が、闘病中の子どもたちを支援する久留米大学病院(福岡県久留米市)の医師らによる取り組みの中で制作したカレンダーなどが、二つの国際的な印刷作品コンテストで入賞した。
 同病院のボランティア組織「久留米大学チルドレンズアート」は2010年から毎年、同病院で治療する子どもたちに絵を描いてもらい、カレンダーやメモ帳などを制作。病院内の売店などで販売し、売り上げは入院中の子どもたち向けに開く夏祭りの活動費などに充てている。同社は当初から商品の企画・制作を手がけている。
 同社によると、受賞作品はカレンダー、ポスター、トランプの3種類。ポスターには発色が良く耐久性のある素材を使用。カレンダーは、デザインごとに少部数の制作が可能なデジタルオンデマンド印刷を採用した。新たな手法を取り入れた作品として提案し、販売は来年度を検討している。
 富士フイルムグループがアジア・太平洋地域を対象にした「イノベーション・プリント・アワード」(10月)では11カ国・地域275作品から、マルチピース部門の2位に選ばれた。品質やデジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて評価された。
 アジア全域が対象の「アジア・プリント・アワード」(11月)ではデジタルカレンダー部門の銀賞に輝いた。いずれも県内印刷会社の受賞は初めてという。
 活動の中心を担う同病院放射線腫瘍センターの淡河恵津世教授は「みんなが優しい気持ちになる。活動を継続しているのは珍しいと思う」。担当する昭和堂アクティブ九州の横尾竜太さんは「治療を受けている子どもたちに元気や勇気を与えられたらとの思いでサポートしている。認知度を高められれば」と語った。

受賞作品のポスター、カレンダー、トランプ(昭和堂提供)

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