現在春秋制から秋春制への移行が議論されているJリーグ。寒冷地における雪の対策など多くの課題は残しているが、過半数を超えるクラブが賛成票を投じたと伝えられている。
今回は「いま春秋制で行われている世界の有力リーグ」をまとめてみた。なお、南米やメキシコで多い「前期+後期リーグ」のシステムを使っている地域は除いている。
ノルウェー
1部リーグのチーム数:16
ノルウェーの1部リーグに当たるエリートセリエン。1962年まではホーヴェドセリエンとして秋春制で行われてきたが、8チームごとの2グループで開催されるというシステムだった。
そして1963年からは1つのディヴィジョンに統合されることが決まり、1961-62シーズンを15ヶ月間行った。しかも16チームの戦いの末に8チームが降格するというなかなかのレギュレーションで、あまりの長さに「マラトンセリエン(マラソンリーグ)」トモ呼ばれたとか。
なお、1963年からは昇格2チームを加えた10チームで新たに春秋制のリーグが行われている。現在は16チーム制。
スウェーデン
1部リーグのチーム数:16
「アルスヴェンスカン」と呼ばれるスウェーデンのトップディヴィジョンは、1959年までは秋春制、それ以降は春秋制で行われているリーグだ。
1924-25シーズンからスタートしたアルスヴェンスカンは当初参加できる地域が限られていたが、徐々に各地方に門戸が開かれていった。そして1957-58シーズンに秋春制から春秋制へと移行することになった。
1957年8月から1958年10月まで行われたリーグは3回戦総当りという珍しい形であったが、ちょうど1958年のワールドカップがスウェーデンで行われたことからサッカーへの関心が非常に高まったという。この年に記録した5万750人という観客数は未だにスウェーデンの歴史上2位の数字だという。
フィンランド
1部リーグのチーム数:12
ノルウェー、スウェーデンと並んで北欧の代表的な国であるフィンランド。トップディヴィジョンである「ヴェイッカウスリーガ」をはじめとして、リーグは春秋制を採用している。
1908年にカップ戦が創設され、1930年に「メスタルウサルヤ」として全国に広がるトップリーグに発展。当初は春秋制だったが、1939年から40年にかけて発生した冬戦争によってシーズンが止まってしまい、1940-41シーズンからしばらく秋春制で開催された。
1945年にはショートシーズンが行われたりとイレギュラーな状況が続いたあと、1948年から再び春秋制へと移行。それ以来は変わらず4、5月に開幕して10、11月に閉幕するスケジュールで開催されている。
アメリカ・MLS
1部リーグのチーム数:29
アメリカで行われているメジャーリーグサッカーも春秋制を採用している有名リーグの一つ。
1994年ワールドカップの開催権を獲得すると同時に、FIFAからプロサッカーリーグの設立を義務付けられたアメリカ。1993年に「メジャーリーグプロサッカー」が組織として立ち上げられ、2年後に正式な設立の日を迎えた。
一時はリーグ戦でペナルティ・シュートアウトを導入したり、アディショナルタイムを廃止したりと異色のルールを使っていたが観客の増加には繋がらず、2002年ワールドカップでの代表チームの活躍によって復活。そしてデイヴィッド・ベッカムの加入や投資家の流入によって劇的な進化を遂げた。
ただ春秋制やプレーオフ、昇降格なし、フランチャイズ制など「アメリカンスポーツ」のアイデンティティは残している。
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なお、他にもヨーロッパではフェロー諸島、カザフスタン、エストニア、ジョージア、アイスランド、リトアニアが春秋制を採用している。またオーストラリアはトップディヴィジョンのAリーグが秋春制、2部扱いとなるナショナル・プレミアリーグ以下は春秋制という珍しい制度になっている。