野々市「芝寿し」初の屋根葺き替え 築130年古民家

初の改修工事が始まった築130年の「芝寿し合掌店」=野々市市三日市3丁目

 野々市市三日市3丁目の「芝寿し合掌店」では、今月から大改修工事が始まった。屋根の茅を全て取り換えて基礎部分を修理するほか、建物を持ち上げて向きを変えるなど内外装を整え、来年5月の完成を目指す。14日は古い茅を取り外す作業が進められた。

 店舗は木造2階建てで、延べ床面積は85平方メートル。元々は旧白峰村(現白山市白峰)で家屋として使われていた築130年の建物で、手取川ダムの建設で湖底に沈む予定だったが、創業者の梶谷忠司さんが持ち主に申し出て現在の場所に移築し、店舗として使い始めたという。

 移築後は大きな改修がほぼ行われておらず、旧白峰村に建っていた当時の梁(はり)や柱が残る。それらをできるだけ生かした改修とし、内部は吹き抜けにして三角形の屋根の内側を見せて木造古民家の風情を伝える。

 今後は国や自治体に文化財指定を働き掛け、伝統的建築物として保存活用を図る。芝寿しの梶谷真康社長は「今では造ろうと思っても造れない建物であり、創業者の思いも詰まっている。会社のアイコンとして末永く残していきたい」と話した。

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