元F1王者ジェンソン・バトンのWEC復帰が決定。JOTAのポルシェ963でふたたびル・マンへ

 WEC世界耐久選手権に参戦しているハーツ・チーム・JOTAは12月15日、ハイパーカークラスのグリッドに並ぶ38号車ポルシェ963のステアリングを握る3名のドライバーの内、未確認だった最後のひとりを発表。来季2024年に向け、元F1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンを起用することを明らかにした。

 2009年のF1世界王者であるバトンは、イギリスのカスタマーチームに供給されたポルシェのLMDhマシンをすでに同チームのラインアップとして起用が発表されていたオリバー・ラスムッセンとフィル・ハンソンとシェアし、3月2日に行われる『カタール1812km』を皮切りに全8戦で争われるチャンピオンシップに参加する。

 43歳のバトンにとってこのフルシーズン・キャンペーンは、LMP1プライベーターのSMPレーシングから2018/2019年WEC“スーパーシーズン”に参戦して以来、6年ぶりにシリーズに復帰することを意味する。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2023年最終戦、プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)でJDCミラー・モータースポーツに参加し、すでにポルシェ963を走らせている彼は最近、WECの将来について「今後数週間で明らかになるだろう」と語りその可能性を示唆していた。

 バトンは来シーズン、2種類のLMDhマシンに乗る予定だ。ひとつは今回の発表によって確定したポルシェ963。もうひとつは来月、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの一員としてスポット参戦する、デイトナ24時間レースで乗り込むアキュラARX-06だ。

「2024年のWECで、チームメイトのオリバー・ラスムッセンとフィル・ハンソンと一緒に、ハーツ・チーム・JOTAとレースをすることができることに興奮している」と語ったバトン。

「ふたりはすでに耐久レースで多くの経験を積んでおり、それがカギになる。耐久レースはチームワークが重要だからね」

「ハイパーカー(クラス)で大手メーカーに挑戦するにあたってハーツ・チーム・JOTAほど最適なチームはない」

「カタールでの最初のレースをすでに楽しみにしているが、準備を整えるためにやるべきことがたくさんあることも分かっているよ」

 イギリス籍のチームであるJOTAは、今週初めにハンソン、ノーマン・ナト、そして元NTTインディカー・シリーズのドライバーであるカラム・イロットの起用を発表し、2台体制で挑むハイパーカーのラインアップの内、バトンを除く5名のドライバーを明らかにしていた。

“NASCARガレージ56プロジェクト”に参加し、2023年のル・マン24時間レースでシボレー・カマロZL1をドライブした元F1チャンピオンのWEC復帰に際し、シリーズのCEOを務めるフレデリック・ルキアンは次のように語った。

「多くのレース分野で大成功を収めたドライバーであるジェンソン・バトンが来年、WECにフル参戦することを光栄に思う」

「来年のハイパーカー・カテゴリーには、9つのメーカーがグリッドに並ぶことが確定しており、さらにジェンソンのようなスタードライバーもいる」と続けた同氏。

「WECがこれまででもっとも華やかなシーズンを迎えるためのすべての準備が、いま整えられつつある」

ハーツ・チーム・JOTAの38号車ポルシェ963 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース
NASCARガレージ56プロジェクトから2023年のル・マン24時間レースに出場したジェンソン・バトン

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