長崎港松が枝埠頭 2バース化用地の造船所 移転候補地の住民らが反対

 長崎港松が枝埠頭(ふとう)に大型船2隻を接岸できるようにする2バース化事業を巡り、岸壁の新設で移転が必要となるシンナガ(長崎市浪の平町)について、県が候補地としている同市国分町の住民らが15日、県庁で会見し、同町内への移転に反対する考えを示した。
 県や住民によると、候補地となっているのは県長崎振興局長崎港湾漁港事務所があった県有地。2021年度から先月にかけ、移転についての説明会が開かれてきたという。
 会見には同町自治会の中本健会長ら8人が出席した。中本会長は、候補地から狭い道路を挟んですぐに住宅地が広がっており、船舶修繕などを手がけるシンナガが移転してきた場合、作業に伴う粉じんや騒音、臭いなどの影響が出ると不安視。「住民の生活環境がすべて悪い方に変わってしまう。ほかの代替地を探すよう、県にお願いを続けたい」と述べた。
 同事務所によると、これまで長崎港沿いの6カ所で利便性や施設配置などを検討し、国分町が候補地に適当と判断したという。住民が反対していることについて担当者は「理解が得られない中で無理に進める考えはなく、話し合いを継続する。候補地については内部で対応を検討したい」と話した。
 取材に対しシンナガは「国や県の発展につながることなので(移転には)協力する。事業を継続できる移転先であれば国分町に限らない」としている。

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