「自分信じ、夢かなえて」 冬季五輪2大会出場の鈴木沙織さん、地元長井で講演

五輪出場への道のりなどを語った鈴木沙織さん=長井市遊びと学びの交流施設「くるんと」

 フリースタイルスキー女子ハーフパイプで冬季五輪に2大会連続で出場した、長井市今泉出身の鈴木沙織さん(33)=城北信用金庫=の講演会が9日、同市の市遊びと学びの交流施設「くるんと」で開かれた。約90人が参加。鈴木さんは五輪への道のりを振り返り、自分を信じて努力する大切さを語りかけた。

 山形中央高時代までアルペンスキーの選手。就職に伴い一度競技を離れた後、2010年10月からハーフパイプに取り組んだ。五輪は18年平昌大会で14位、22年北京大会は15位。22年7月に第一線を退き、現在は所属先選手のマネジメント業務などに携わる。講演会は、同施設のオープン記念事業として市立図書館が主催し、2部制で開いた。

 高校生以上が対象の第1部では、美容師として就職した20歳の時、五輪選手になる夢を諦めきれず、スキーに復帰した経緯を紹介。未知の世界だったハーフパイプに挑戦し、最初の5年間は活動資金を得るためパチンコ店で働きながら平日3時間半、休日8時間の猛練習を重ねたと説明した。

 右膝前十字靱帯断裂などの大けがを経験。「あとは良くなるだけと気持ちを切り替えた。つらかった記憶はなく、逆に病やけがと向き合う他の患者の姿に勇気をもらった」と語った。

 第2部は中学生以下を対象にクイズや軽運動を交えて実施。「マラソン大会はいつも最下位。運動より食べることが好きだった」と子ども時代を振り返り、なりたい自分になる近道として「支えてくれる人に感謝し、信じ、強がらずに甘えてほしい」と呼びかけた。参加者は「けがに負けず努力を続けてきたことがすごい」「親近感が湧いた」などと話していた。

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