白山・鶴来にクマ、女性重傷 クレイン近くの住宅街、男性も襲われ搬送

女性がクマに襲われた現場付近を巡回する車両=16日午前11時55分、白山市安養寺町

  ●女性は自宅の庭で草刈り中、血だらけ「やられた」

 16日午前9時56分ごろ、白山市安養寺町の住宅の庭で家人の女性(70)がクマに襲われた。女性は顔や左腕を引っ掛かれて重傷を負い、内灘町の金沢医科大病院に運ばれた。命に別条はないとみられる。その後、現場近くで男性がクマに襲われ、搬送された。猟友会や白山署などが周辺を巡回しているが、午後1時時点でクマは見つかっていない。冬眠期でクマの活動が鈍るとされる師走に、住宅街で出没したクマに住民らは驚き、警戒を強めている。

  ●逃げて見つからず

 被害に遭った女性の孫で同居する男子高校生(17)によると、庭で草刈りをしていた女性の悲鳴が突然聞こえた。玄関に出ると、鼻や額などが血だらけになった女性が「クマにやられた」と言って庭から逃げてきたという。家族が119番通報した。

 女性が襲われた現場は国道157号に近接する鶴来地域の住宅街で、近くに鶴来総合文化会館クレインがある。午前7時ごろには、安養寺町から南に約1キロ離れた行町(あるきまち)でもクマが目撃されており、猟友会などは同一の個体とみている。

 白山市などは防災メールで住民に注意を促し、猟友会、白山署とともに現場周辺の捜索に当たっている。

  ●冬眠期出没に住民声震わせ

 近隣に住む70代女性は、50年ほど安養寺町に住むが、これまでクマが出たことはないといい、「近所でこんなことが起きるとは思わなかった。しかも12月は本来、冬眠している時期ではないのか」と声を震わせた。

© 株式会社北國新聞社