手もみ製茶「日本一」審査5項目で満点 京都府和束町の保存会が5年ぶり奪還 

全国大会で生の茶葉を手でもむ和束茶手揉技術保存会のメンバー(11月16日、静岡県藤枝市)=同会提供

 京都府和束町の茶農家や茶業関係者らでつくる「和束茶手揉(てもみ)技術保存会」が、手もみの製茶技術を競う全国大会で、優勝にあたる最優秀賞に輝いた。5年ぶりに全国1位の座を取り戻し、保存会のメンバーは「和束の茶を全国に知ってもらうきっかけになってほしい」と話す。

 同保存会は1990年代後半に町内の有志が結成した。現在は、茶業のPRイベントで手もみの実演をするなどしている。メンバーは現在約20人で、会長は茶農家細井堅太さん(45)が務める。

 11月中旬に静岡県藤枝市で開かれた大会「第27回全国手もみ製茶技術競技大会」には、全国から23チームが出場した。1チーム3人で、同保存会からは細井さんのほか、茶農家を営む喜多章浩さん(48)、茶文化発信などに取り組む一般社団法人代表理事の鈴木シモナさん(34)が参加した。

 競技では、各チームが同じ蒸した茶葉4キロを4時間かけてもんだり転がしたりして、約800グラムになるまで乾燥させて仕上げた。出来上がった茶葉の形状や香りなど5項目で審査を受け、保存会は満点を獲得した。

 茶葉を理想とされる細長い形状にするには力を込める必要があるが葉を傷めるリスクもある。一方で、もまなければ茶の風味や色合いは出ない。勝因について、細井さんは「おいしい茶葉になるようイメージしながら臨機応変にやり方を変えた」と振り返る。

 保存会は2018年に優勝しており、その後に会長に就いた細井さんは「責任を感じており、ようやく優勝できた」と喜ぶ。「茶業の機械化が進んでも機器の設定をするのは人間。感覚を磨く手もみの技術は欠かせない」と話した。

製茶の手もみ技術を競う全国大会で優勝し、賞状を手にする和束茶手揉技術保存会のメンバー(和束町役場)

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