インバウンド拡大策を議論 山形新聞、山形放送提唱 21世紀県民会議

インバウンド拡大に向けた観光戦略について意見交換した21世紀山形県民会議=東京・日本プレスセンタービル

 山形新聞、山形放送が提唱する「21世紀山形県民会議」が16日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで開かれ、「インバウンド拡大への道」をテーマに、吉村美栄子知事や佐藤孝弘山形市長、県選出国会議員、各界代表が一堂に会して意見を交わした。出席者は、外国人観光客を引きつけるポイントの的確な把握や本県の魅力の発信力強化について、重要性を深く理解し、一丸となって課題解決を目指すことを確認した。

 提唱者を代表して寒河江浩二山形新聞会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)があいさつし、全国的なインバウンド(訪日客)の回復傾向の一方で、地方への誘導が課題だと指摘した。「(空港の)滑走路延長をはじめ、基本インフラの強化に道筋を付ける上でも重要な時期との認識に立ち、インバウンド獲得・拡大の方策を多角的に議論したい」と語った。

 佐藤秀之山形新聞社長がテーマを提起し、11人の出席者が意見を交わした。「実効性のある観光戦略」に関しては、自然や文化体験を盛り込んだアドベンチャーツーリズムの推進、若手民間人を主体としたプロジェクトチーム創設の提案があった。ほかに、東北を結ぶ公共交通網の充実や標識の多言語化、市民・企業・行政の団結を求める声も出た。

 「『本物の日本』と言える資源をいかにアピールしていくか」については、誇るべき本県の価値の一つに精神文化が挙がり、外国人に分かりやすく伝えることが大切との認識を共有した。「県民が地元の価値を認識することから始まる」との意見もあった。

 アドバイザーを務めた訪日観光情報サイト「ジャパンガイド」編集者のフランク・ウォルター氏は、外国人は自国にないものを求めているとした上で「住みたくなるような観光地であるべきだ。毎年、海外から短期間、山形に滞在するという流れをつくりたい。定住につながる可能性もある」と述べた。慶応大商学部教授の加藤一誠氏は「関係人口という形で“緩い関心”を持ってくれる外国人を増やすのも手だ。対象を絞った情報発信と、来てくれた時に対応する受け皿とが必要になる」と話した。

 豊かな郷土づくりを目指し、直面する課題について議論を深め、県勢発展につなげる県民会議は49回目。会議の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」の本紙チャンネル「Press Yamashin」でライブ配信した。

インバウンド拡大に向けた観光戦略について意見交換した21世紀山形県民会議=東京・日本プレスセンタービル

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