婚姻届の記入例、兵庫・三木市がある項目のチェックを外す きっかけは新聞報道「無意識の誘導避けたい」

三木市が作成した婚姻届の記入例。「夫の氏」にチェックを入れた様式(右)から、単に記入を促す現在の様式(左)に改めた

 兵庫県三木市は11月、婚姻届の書き方や注意点を示す書類で、婚姻後の姓(名字)に関する項目の記入例を変更した。これまでは夫の欄にチェックが入っていたが、夫妻いずれの欄も空白にした上で「どちらかにチェックしてください」とのコメントを補足した。「夫の姓を選ぶのが当然」と、無意識のうちに誘導してしまわないようにとの配慮からだという。(小西隆久)

 婚姻届には、夫婦となる2人の名前や住所などを書くほか、婚姻後の名字を「夫の氏」にするか、「妻の氏」にするかをレ点でチェックして選ぶ欄がある。

 民法は、結婚後はどちらか一つの名字を選び、どちらかが改姓するよう定めるが、選ぶのは夫の姓でも妻の姓でもどちらでもよい。三木市が昨年度、受け付けた婚姻届は216件あり、その9割超が「夫の氏」を選択しているという。

 三木市が記入例を改めたきっかけは、11月22日付朝日新聞の報道だった。ジェンダー平等を目指す団体が全国175自治体の婚姻届の記入例を調べたところ、9割超の自治体で夫の欄にチェックが入っている-との内容だった。

 市民課が同日朝、三木市が作成した記入例を確認すると「夫の欄にチェックが入っている」ものだった。職員らは役所の閉庁後に協議。夫妻いずれの欄も空白にした上で「どちらかにチェックを」とのコメントを加えたものに改めた。古い書類約30部は廃棄し、同24日から新しい記入例を訪れた人に手渡している。

 同市は2014年、性別による偏った表現などを見直すガイドラインを策定。パンフレットなどの刊行物を作製する担当者をはじめ、全職員に広く周知しているという。市民課の西本敬子課長は「ジェンダー平等を進めるためには、無意識の思い込みや偏見にこそ注意しなければならない」と話す。

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