待ち時間利用した「おしゃべりカフェ」 厚生労働省の老健局長優良賞を受賞 さくらタクシー敷地内で運営

表彰状を手にカフェの前で笑顔を見せる横山さん(右から2人目)ら

 地域住民の健康増進に貢献したとして、栃木県さくら市喜連川のさくらタクシーが厚生労働省の「第12回健康寿命をのばそう!アワード(介護予防・高齢者生活支援分野)」企業部門で老健局長優良賞をこのほど受賞した。同社敷地内の建物で運営する「地域のおしゃべりカフェTAKU-TAKU(タクタク)」の取り組みが評価された。

 同アワードは全国の個人や企業、団体、自治体を対象に、介護予防などに関する優れた取り組みを表彰している。今年は介護予防・高齢者生活支援分野で16件を表彰した。老健局長優良賞は厚労大臣最優秀賞、同優秀賞に続く位置付け。企業部門には2件が選出された。

 さくらタクシーは通常のタクシー運行業務のほか、市から委託されたデマンド交通「コンタ号」を喜連川地域で運行している。最大300円の料金で、運行エリア内にある病院や店舗、個人宅まで移動できるシステム。利用者がコンタ号を待つ間、同社の事務所がアットホームな交流の場として機能してきたという。

 タクタクは「(タクシーやコンタ号利用者以外にも)人々が集まれる拠点がほしい」といった要望に応え、昨年7月にオープンした。同社事務所隣に建物を新築し、1階はカフェスペース、2階はフリースペースとした。数人のスタッフで運営し、体操教室やワークショップなど月15回程度の催しを開催。オープン後の1年で225日開所し高齢者3078人が利用した。

 代表の横山智子(よこやまともこ)さん(40)は今月5日、市役所に花塚隆志(はなつかたかし)市長を訪ね、受賞を報告した。「受賞の知らせを聞いて驚きました。オープン準備期間からの市高齢課の対応や地域の協力があって認めていただいた」と謙虚に受け止め、「世代間がつながることで、助け合える関係が築ける場所になればうれしい」と願っていた。

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