22%

 大谷翔平選手が全国の小学校にプレゼントするグラブの代金と違って、決して愉快な計算ではなかったことは前置きしておきたい。自民党派閥の裏金問題で改めて感じたことの一つは、決して安くない金額のパーティー券が千枚を超える単位でどこかへ“はけた”という事実だ▲購入者が皆、喜んで協力したとは限らないし、チケットの売れ行きが自民党への支持に直結しているのかどうかも分からない▲だが、たとえ、不承不承の「お付き合い」であっても大きなお金が動いたのは確かで、事の善し悪しは別にして、この政党のある種の“底力”の表れではあるのだろう▲と、書いたそばから仮説の成否が危うい。内閣支持率の下落に「底」が見えない。昨日の記事にあった「22%」は2012年の政権復帰後では最低で、それ以前の政権をさかのぼってもあまり見覚えのない数字だ。自民支持層の「岸田離れ」も指摘される▲支持率が下がり始めたのは前首相の国葬が論議を呼んだ昨秋あたりだったか。支持率がこんなにも下がるほどの決定的な失策は見当たらないように思えたり、失態や期待外れが多過ぎて一つ一つが見えにくくなっているだけかも、と思い直したり▲「物価高も続いて運も悪かったのかな」-気がついたら“過去形”で同僚と会話していた。(智)

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