園児を乗せた送迎バス 中央分離帯を乗り越え 車4台にぶつかりながら…(ドライブレコーダー映像) 事故現場 100メートルほどを実際に走ってみると

18日、広島・東広島市でこども園の送迎バスが中央分離帯乗り越え、反対車線を走っていた車4台と次々と衝突しました。事故現場から 渕上沙紀 アナウンサーの報告です。

渕上沙紀 アナウンサー
事故があった現場近く、「ブールバール」を走行しています。片側2車線で見通しのよい直線道路です。緩やかな上り坂になっています。18日、事故が起こったのは午後2時半ころでした。今から1時間ほど前なんですけれども、それほど交通量は多くないといった印象です。

18日は、中央分離帯を送迎バスが乗り越えて事故が起こりました。ちょうど今、直線から左カーブに差しかかるところでバスがそのまま中央分離帯を乗り越えて、逆走して事故が起こったということなんです。そのまま100mほど行きまして、見えてきました、幹がはがれているこの木に正面からぶつかってバスは停止したということなんです。

さきほど、中央分離帯の縁石の高さを測ってみたのですが、15センチほどありました。これを乗り越えて、さらに街路樹をなぎ倒して対向車線に乗り込んだとなると、かなりの勢い、そしてスピードがあったのではないかなと考えられます。

さらに距離にしてわずか100mほどのあっという間の事故ではあったんですけれども、送迎バスは車体も高いですし、乗っていた子どもたちのことを考えますと、その衝撃などかなり怖い思いをしたのではないかと思われます。

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小林康秀 キャスター
ご覧いただいてわかりますように事故は緩やかなカーブで起こっているんです。渕上さんが走っていた道は、バスがもともと走っていた方向でした。本来ならばまっすぐ行くんですけれども、ちょうどこのあたりで木を投げ倒すような形で中央分離帯を乗り越えました。高さが15センチという話がありました。

わたくし、止まっていたバスが撤去される様子を見たんですけれども、確かに高さはあるんですが、バスぐらいの大きさだったら一気に乗り越えてしまえるぐらいの高さでもあるのかなと思いました。ただ、勢いは必要なのかなというぐらいの高さです。

その後、対向車線に入って逆走します。そして、4台の車とこのようにぶつかって、最終的にこちらの木のところ、さきほど、えぐれていましたけれども、そこにバスが衝突してぶつかって止まったということになるわけです。

この事故の一部始終を、近くを通行していた車のドライブレコーダーがとらえていました。

まずは前方のカメラの映像です。このように車が進んでいると、向こうから急にバスが出てきまして、そして軽のミニバンとすれ違うようにしてぶつかって通り過ぎていきました。

映像の最初の部分では、バスが中央分離帯をちょうど乗り越えるところが確認できます。

そのまま一気に対向車線に入るんですが、ほとんどブレーキをかけるまでもなく、反対側にあるガードレールにぶつかるということなんです。かなりのスピードのまま直進していました。ガードレールをこするようにして、軽ミニバンの横をかわして、ぶつかって通り過ぎていくという状況だったんです。

青山高治 キャスター
中央分離帯を乗り越えたときにそうとうな衝撃はあったと思うんですけど、そこでスピードが弱まることがなく、かなりのスピードが出た状態で車にぶつかっていたということがわかります。

小林康秀 キャスター
あまりブレーキを踏んでいるような感じは、この映像からはちょっと読み取れません。そのあたりの操作は実際、どうだったかというのはまだわかりません。

中根夕希 キャスター
映像を見ているだけでも、運転している方のドライブレコーダーなので、まさにこの情景を見ていたということですよね。突然、バスが出てきた恐怖というのはとてつもないものだったんじゃないのかなと想像します。

青山高治 キャスター
一方でバスに乗っていた子どもたちにとっても中央分離帯の石を乗り上げた衝撃、そのスピードのままでほかの車にぶつかっていた。そうとう怖かったんじゃないかと思います。

小林康秀 キャスター
この軽ミニバンも本当にすれすれのところでかわしたというところです。目の前からバスがやってくる。車がもう行けないですもんね。結局、ぶつかることにはなりましたけれども、正面衝突だけは避けられて本当によかったなという、ギリギリだったことがわかります。

後方のカメラの映像を見ていきます。バスが通り過ぎ、後ろから走ってきた車にぶつかりながら、最終的に止まります。

スロー再生で確認しますと、まず後方から車がやってきます。しかし、バスが前から来るので前に行けません。バックをし始めます。

なんとかギリギリかわしてバスは通り過ぎるんですけれども、ここにある黒い車に当たる。さらに後ろの車にも当たって、車の向きが変わってしまっていたという状況でした。

そして、最終的に中央分離帯の木にぶつかって、ちょっと煙を上げているような状況がうかがえたかと思います。

中根夕希 キャスター
あらためて大きな衝撃があったんだろうと思います。中央分離帯を乗り上げるときもおそらく大きな衝撃があって、ぶつかった回数もかなりあるので、その都度、中にいた園児のみなさんはたぶん衝撃を受けているし、怖い思いをしていたんだろうな感じます。

小林康秀 キャスター
最後にぶつかった車を見ていただくとわかるんですけど、車の向きが変わるぐらいです。つまり車ではこのバスは止まらないぐらいのスピードだったということが見た感じ、わかります。木があってバスは止まったんだということを考えると、このまま、さらに突き進んでいた場合、いったいどうなっていたんだろうなということは感じます。

今回、けがをされた方です。12人が搬送されて、10人がけがをしました。園児5人は全員けが。先生1人にけがはありませんでした。運転手の方ははさまれて重傷見込みです。衝突した乗用車に乗っていた方のうち4人がけが。バスの運転手以外は軽傷だったということではあるんですけど、この映像を見たら、これ以上のことが起こっていた可能性もあるんじゃないかと、ちょっと恐ろしささえも感じてしまいます。

認定こども園の「さざなみの森」によりますと、送迎バスの運転手(77)は、委託したタクシー会社に所属していて、園での勤務は8年目、委託先の健康診断では「健康状態は業務上、支障がない」という話でした。

もう1つ、今後については、▽送迎バスは当面禁止、▽子どもたちや家庭の心のケアについてサポート、▽園も責任を持って委託先とともに原因究明、▽安全対策を再検討したいということです。

保護者のみなさんは、このように話しています。「お友だちのことが心配で心を痛めている」「子どもの心の負担がないようにしてほしい」「これからもわかっていることを可能な限り伝えてほしい」ということです。

コメンテーター 木下ゆーき さん(子育てインフルエンサー)
映像からもかなりの衝撃だったんだろうなっていうのが伝わってきますし、バスの中がどういう状態だったのかってのを想像すると、胸が苦しくなるような状態が想像できます。幼稚園バスの事件って、ここ数年、ちょっといろいろと起きていて、例えば園の置き去りでの死亡事故もあったり…。子どもを幼稚園バスに預けることに不安を抱えている保護者の方ってすごく多いんです。そんな中、今回の事故がまた起きたっていうことで、やっぱりしっかりと原因を究明したうえで今後、同じようなことが起きないようにっていう対策をしていかなきゃいけないですよね。

青山高治 キャスター
一方でこの送迎バスがあることによって、親御さんの生活のリズムであったりとか、仕事に行くためのルートとかっていうのも大きく変わってくるわけです。

木下ゆーき さん
そうですね。幼稚園バスがあるかないかっていうのを選定基準にして園を選んでいるような、バスがないと子どもを預けられないというご家庭もありますので、一概に幼稚園バス全て休止っていうふうにやるのは、家庭が回らなくなるっていうところも多いと思うので、しっかりと原因を究明したうえで、みんなの社会生活が円滑に進むような対策っていうのを立てていかなきゃいけないなと思います。

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